約 3,642,306 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/568.html
どこまでも晴れ渡った青空のもと、広い草原の上。8匹のゆっくり達がゆっくりとした時間を過ごしている。 まだ小さい赤ちゃんゆっくりが6匹、成体の、おそらく赤ちゃんゆっくりの親であろうゆっくりが2匹いる。 赤ん坊は全て霊夢種のゆっくりで、両親の愛情をうけていままでゆっくりと暮らしてきたのだろう。 野生種にしては肌に張りがあり、髪も艶がある。要するにとても健康なのだ。 満面の笑みを浮かべながら、「ゆっ♪ゆっ♪ゆっくり~♪」と跳ねながら歌っている。 子供たちよりも二回り大きい霊夢種と、その霊夢種より少し大きい魔理沙種の両親がそれを見守っている。 見守る親ゆっくりの表情もとてもゆっくりとした良い表情だ。 両親の髪には、昨日我が子が自分達のためにと採ってきてくれたタンポポが刺さっている。 自分の子供たちがゆっくりとしたやさしい子供に育ってくれたことが、彼らにはうれしかった。 「れいむたちのこどもいいこだね!」 目を細めてゆっくり親霊夢が言う。 「まりさたちのこどもゆっくりだね!」 親魔理沙もうれしそうに言う。 両親ともにやはりとても健康だ。 そう、私の娯楽に付き合うのに彼らは完璧だ。 長い間ゆっくりの家族たちを見てきたが、彼らほどお互いのこと思いあっているゆっくりの家族はそういるものではない。 彼らを私の素敵なパーティーに招くためには第一印象が大事だ。 できるだけやさしい声で、彼らに話しかける。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 種としての本能か、彼らはやはりゆっくりしていってね!!!と返してくる。 この反応で10日前にやった遊びを思い出す。 ふと、どんな状況でも「ゆっくりしていってね! 」と言えば「ゆっくりしていってね! 」と言い返してくれるのか実験してみた。 ゆっくりの足?かどうかはわからないが、底の部分をのこぎりでゆっくり切る。もちろんゆっくりは泣き叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」と言えば、 「つっづゆっづっりじていっべぇねぇ!!!」と、激痛の余りゆがめた口から、泣きながら「ゆっくりしていってね!」らしき言葉を話していた。 そのゆっくり霊夢は元の場所に帰してやったが、おそらくもう死んでいるだろう。 おっと、いかんな。今大事なのは目の前の彼らを私のパーティーに招くことだった。 「おじちゃんゆっくりできるひと?」 「おじさんゆっくりできるひとなの?」 おじさんかぁ…まあいい。私から溢れるダンディーな雰囲気から、お兄さんではいけないと考えたんだろう。 彼らが聞いてくる。驚いたことに、ゆっくりとだが私から距離をとり、まだ小さい子ども達の前に霊夢種と、なんとあの魔理沙種が立っている。 おそらく私が襲いかかってきたときに、子供たちを守り、子供たちを逃がすためだろう。 特に魔理沙種が子供たちを守ろうとする姿勢は私を感動させた。あの親兄弟子供さえ自分のためなら切り捨てる魔理沙種が! 彼らに会えたことを心の底から感謝しなければ!! 「うん、ゆっくりできる人だよ。ところでそこの君達、とてもきれいな髪飾りだね」 「「うんわたしたちのあかちゃんがくれたんだよ!!」」 「「「おかあさんたちにあげたんだよ」」」 親ゆっくりはうれしそうに、子供ゆっくりは誇らしげに私に向かってしゃべる。 髪飾りを褒めただけで警戒を解くところは、やはりゆっくりといったところか…。 「ところで君たち、ご飯を食べないかい? たくさん持っているんだけど一人で食べるには多いからね。一緒に食べよう」 「ゆっ!!ゆっくりちょうだい!」 「ゆっくりまってね!」 子供たちはうれしそうに駆け寄ろうとするが、親ゆっくり達に止められている。 彼らは少し疑わしそうにこちらを見ている。なるほど、毒を警戒しているのか? ゆっくりにしては賢い。相当修羅場をくぐりぬけてきたのだろうか? 「ははは、毒なんかはいってないから、心配せずに食べてごらん」 ニッコリ笑って風呂敷袋からおにぎりを取り出し咀嚼する、うんおいしい。やはりおにぎりの具は梅干しだ。 「うたがってごめんね!ゆっくりちょうだい!」 信用してくれたようだ、別の風呂敷袋からまた別のおにぎりを取り出す。具は特にない。 そしてなかには無味無臭の睡眠薬が入っている。 それを4個彼らに与える。 「うめぇ!めっちゃうめぇ!」 君達ね、君達の食べているおにぎりを私が食べたわけではないのになぜ毒がないと思うかな? まぁゆっくりだからしかたないか。 彼らが気に入ってくれたようでよかった。 人生最後の食事、いや饅生最後の食事なのだから、ゆっくり味わってほしいのだが、尋常ではないスピード食べている。 君達全然ゆっくりしてない、ちゃんと味わっているのか? すぐに彼らは食事を終えた。 親ゆっくりたちが子供の口に付いたご飯粒を取ってあげている、心温まる光景だ。 「おじちゃん!とってもおいちいよ!ありがとね!」 「おじさん!とってもおいしかったよ!ゆっくりしていってね!」 この家族に私は気に入ってもらったようだ、しばらく彼らと遊んだ。 遊ぶといっても、小さいゆっくりを持ち上げて立ってやるだけなのだが、いつもと違った景色にご満悦のようで、 「ゆっ!とってもたかいよ!」と喜んでくれる。 特におそらく末っ子の一番小さいゆっくりはこの遊びを気に入ったらしく、私の掌でとび跳ねながら 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 と喜んでくれている。 一番ちいさいのでちびゆっくりと呼んでもいいかと聞くと、 「ゆっ♪おじちゃん大好きだからいいよ」 といってくれた。かわいいゆっくりだ。 そうこうしているうちに薬が効いてきたのか、子供ゆっくりが眠そうだ。 「なんだかねむいね…」 それに気づいた親ゆっくり達は、家に帰ることにしたようだ。 「「おじさん!きょうはありがとね!ねむたいしきょうはおうちにかえるね!」」 親ゆっくりも少しは眠そうだ。体が大きい分薬の回りが遅いようだ。 このまま家に返してしまっては彼らをパーティーに呼ぶことができない。 「子供ゆっくりちゃん達も眠そうだし、そのまま帰るのは危ないよ。だからさ、今日は僕の家に来ないかい? 食事もあったかい寝床もあるし、気に入ってもらえるならそのまま君たちの家にしてもらってもいいよ」 「ゆっ!ほんと!」 「おじさんのうちにいくよ!ゆっくりつれてってね!」 すっかり私のことを信用してくれたようだ。 「うん、それじゃあちょっと狭いけどこの籠の中に入ってくれるかな? 家に着いたらたっぷりゆっくりさせてあげるよ」 ゆっくり達は何の疑いも持たずに籠の中に入っていく。 少しの間はゆっくりたちも私に話しかけてきた。 「ゆっくりできるおうちだったら!れいむたちのおうちだね!」 「とくべつにおじちゃんもすんでいいよ!」 しかし数分もすれば全て寝息になっていた。 私は鼻歌を歌いながら自分の家に向かう。 自宅につくと、地下室に用意したパーティー会場。 鉄製の箱で、蓋はしていない。ゆっくりたちが十分ゆっくりできるほどのスペースは無い。 そこに彼らを一匹一匹かごから出して置いていく。 あと数分もすれば目覚めるだろう。 それにしても良い寝顔だ。なんの心配もなくゆっくりとした表情で寝息を立てている。 親ゆっくり達を中心に、子供ゆっくり達が寄り添うようにして眠っている。 彼らは目を覚ませば、またゆっくりできると思っているのだろう。 「ゆっ~ん」 一匹起きたようだ。それにつられてかほかのゆっくりたちも起きてくる。 「ゆっくりねたね!」 「おはようおじちゃん!ゆっくりちていってね!」 「おうちについたね!ゆっくりするね!」 それぞれ思い思いのことを言いながら飛び跳ねている。 その彼らに、一匹一匹ポリタンクの中からうつしたバケツに入った、とある液体を刷毛でゆっくりの髪にぬりつける。 「ゆっゆ!きもちわるいよ!」 「なにこれ!つめたいよ!」 「こんなことしてゆっくりあやまってね!!」 「「はながよごれたよ!ゆっくりあやまってね!!」」 ゆっくりの両親が揃って抗議する。 鼻?普通髪を謎の液体まみれにされたことを怒らないのか?なぜに鼻? 鼻…はな…花…あっ!このゆっくり子供たちにもらった髪飾りが汚されたことを怒っているのか、 ふーん感動的だね。これからどうなるかも知らないで。 「ああ、ごめんね。君達に灯油を塗ったのはゆっくりするには大事なものだからなんだ」 「ゆっくりできるんだね!」 「はやくゆっくりしたいよ!」 「とうゆでゆっくりできるの?!」 「はやくとうゆでゆっくりしたいよ!」 ゆっくり達にとってゆっくりできると言えば、大抵のことを信じてくれる。便利な言葉だ。 まぁちゃんとした器具を使ってしかるべき使い方をすれば、冬場は家の中でゆっくりできるものだ。私の言ったことはあながち嘘ではない。 さて、準備は整った。それじゃあパーティーの始まりだ。 とりあえずマッチを擦ってみる。シュッ 一度で火がつかない…。 シュッシュッシュボ やっとついた。ニッコリ笑顔で、自分に一番なついてくれたちびゆっくりを呼ぶ。 「いちばんちっちゃいゆっくりからゆっくりさせてあげるよ」 他のゆっくり達からは抗議の声があがったが、順番にゆっくりさせてあげるというと納得した。 飛ぶようにこっちに向かってちびゆっくりが跳ねてくる。 ご飯をくれた、自分と遊んでくれた優しいおじちゃんが、自分を一番にゆっくりさせてくれる。 そう考えたんだろう、満面の笑みで素早く足もとまで来た。 「それじゃあゆっくりさせてね!」 私もニコニコ顔で答える。 「その前に少しの間目を閉じていてね。ほかのゆっくりたちもだよ」 すべてのゆっくりが目を閉じている。どの顔もとてもゆっくりとしていて、これから起こるゆっくりに期待している。 それを確認した私は、ちびゆっくりにマッチの火を素早く近づけようとする。 「ゆっくりはなれろ!!!」 薄目を開けていたらしいゆっくり親魔理沙が、マッチに向ってタックルを仕掛けてくる。 少し驚いたが遅すぎる、止まって見える。マッチの火が素早くちびゆっくりを炙る。 それまで幸せだった人生が変わる瞬間、私はそれがたまらなく好きだ。 火がついた瞬間。 「ゆぎゅぎぃぃいぃ!!」 大声を出して地面を跳ねまわるちびゆっくり。 その絶叫と甘い物が焼ける匂いに、素早くほかのゆっくりたちも目を開け、惨劇に驚愕する。 ちびゆっくりは大声で泣き叫んでいる。無理もない、頭を火ダルマにされているのだ...もっとも顔だけしかないが。 ともかく体に火が付いているのだ、苦しくて当然だ。 ほかのゆっくりたちは、 「れ゛ぇぇむ゛れ゛ぇぇむ」 姉妹の名を叫ぶゆっくり、 「はやくけして!」 私に助けを求めるゆっくり、 「ひぃっ」 あまりの出来事に一瞬息をのみ、 「じぃじぃのぜいでゆっづぐりできないよ!じねぇぇ!」 その後怒りの声をあげるゆっくり。 じじいとは失礼な!!老け顔だが20代だぞ!!! おっと、怒りで我を失ってはいけない。 そうこうしている間に、子供をゆっくりの両親が助けに行ったぞ。 ふふ、あとは椅子に座って見てるだけだ。 「あづぃぃよ゛!!おがぁざぁん!!!!」 熱さにのたうちまわる火ダルマの子ゆっくりを見ても、ゆっくり親霊夢もゆっくり親魔理沙は、まだ助けることができると信じた。 「「すぐたすけるよ!!」」 何とか体当たりでも何でもして火を消すのだ。 二人を突き動かすのは、わが子を助けたいという気持ちだった。 ほかの姉妹たちと違って、生まれてすぐにゆっくりしていってね!を言わなかった我が子。 しばらくして 「ゆっくりしていってね!」 と言ってくれた時はどれだけ安心しただろう。 この娘たちの中で一番小さいゆっくり霊夢は、とても優しくて、ゆっくりとした良い子に育ってくれた。 この二匹の親ゆっくりがつけている髪飾りを取ってこようと最初に提案してくれたのは、今火ダルマで苦しんでいるこの子なのだ。 二人のゆっくりは灯油が塗られた体で火をけすため、飛びつこうとした。その時。 火の粉が舞ったそれは、ちびゆっくりのより近くにいたゆっくり魔理沙の、ちょうどあのタンポポでできた簡素な髪飾りに降り立つ瞬間、燃え始めた。 「ゆ゛っまりさ!かみとぼうしが!!」 ゆっくり魔理沙は驚愕した、なぜ自分はいきなり燃えたんだ、 しかし理由など考えている場合ではない、頭が燃え始めているのだ。 しかも燃えているのは自分の帽子なのだ。 「ゆ゛ッ!!!!」 ゆっくり達にとって、帽子やリボンは仲間の識別に使われる、ある意味命よりも大切なもの。 なければ自分のことを仲間だと認識してもらえず、食われたり、いじめ殺される。 ゆえにその大事なものをとることなどできるはずがない。ちびゆっくりのことも忘れて必死になって火を消そうと地面を転がる。 ゆっくりとは思えないかなりのスピードだ。 しかしその分火の粉が飛んでしまう。 近くにいた二匹の子供にも火の粉があたり、一瞬で火ダルマだ。 「あっづいぃ!!あっっづぃぃぃ!!!」 「ア゛ッつ゛ィぃぃィ゛」 いつもそそっかしいゆっくりが、 世話好きのゆっくりが火ダルマになって飛び跳ねている。 ゆっくり母霊夢の頭にはだんだん事態が飲み込めてきた。 自分たちはこの”とうゆ”という危険な液体をかけられていて、火がついたものの近くにいると発火してしまう。 そしてじぶんの嫁であるゆっくり魔理沙や子供たちは、火の粉をまき散らしながら飛び跳ねている最悪の状態だ。 涙を流しながら叫ぶ。 「ゆっくりはなれて!」 もう火がついた子供を助けることなどできない。 現に最初に燃やされたちびゆっくりはもう動いていない。 火が付いてしまった以上、彼女たちは自分のかわいい子どもから、恐ろしい殺戮者に変貌してしまったのだ。 本格的におもしろいことになってきた。どうやらあの親霊夢は、自分たちが非常に危険な状態にあるということを理解できたようだ。 ゆっくりとは思えないほど賢いな、やはりこの家族を選んで正解だった。 焼酎とつまみを楽しみながらゆっくりをいじめる。 最高の娯楽だ。みんなが火ダルマになってダンスパーティーを楽しんでいる。 数時間前までは、ゆっくりした時間を家族と一緒に過ごしていたのに。 ものの三分で、大事な家族は自分を殺す凶悪な兵器になってしまったんだ。 いま彼らはゆっくりの反対、ものすごくいそいでいるんだろう。 「いそいでにげてね!」 彼らに私なりの声援を送る。 子供の中では一番大きなゆっくり霊夢は、一番臆病なゆっくり霊夢を引きずるようにして、元姉妹から必死に逃げている。 「ゆっくり!いそいでね!」 「ゆゅくり!いぃいそぐよ!」 あまりの恐怖に、顔面蒼白で体中を震わせながら、姉に言葉を返すゆっくり霊夢。 後ろからは姉妹がすさまじい絶叫を上げながら飛び跳ねてくる。 「ア゛ッつ゛ィいダぁイ!!」 声からして、おそらくいつも自分を助けてくれた姉の声だろう。 一度湖に行った時、大きな蛙に食べられそうになったときなど、 カエルに豪快なタックルを決めて追い払ってくれた。 その大好きな姉が、今や火だるまになって追いかけてくる。 少し離れたところでは、完全に体に火が燃え移ったゆっくり魔理沙が絶叫しながら飛び跳ねている。 後ろにはもう姉が来ている。 追いつかれるそう思った瞬間、とっさに体が動いた。 自分をひっぱて逃がそうとしてくれた長女をつかんで、後ろから来る火の玉にぶつけていた。 「ア゛ッつ゛!!」 「ぎゃァぁあいぁ!!」 火の玉は粉々に崩れたが、新しい火の玉が飛び跳ねている。 必死になってにげながら、「ゆっぐりじだぁい!!」 と泣き叫ぶ。しかしできるはずもない、すぐについさっき自分が裏切った姉の火で、自分も火の玉になる。 「ははははは、傑作だねこれは。」 まさに因果応報だ。 悪いことは出来ないものだ、やはり清く正しく生きなければ。 それにしても、思ったよりゆっくりは力があるな。 自分よりだいぶ大きいゆっくりに噛み付いて投げ飛ばすとは。 単に火事場の馬鹿力だったのだろうか。 しかしこれで残りは親霊夢と子霊夢だけだ。 部屋の中心でぶるぶる震える子霊夢を、母霊夢が必死に守っている。 実に感動的だ、髪飾りが落ちているのも満身創痍といった感じで面白い。 まわりでは元家族たちが大きな声で歌いながら、火の衣装を身にまとって踊り狂っている。 この素晴らしいダンスパーティーも終盤だ。 一つ今回の主役達に最後に言ってやろう。 「さいごまでゆっくりこわがってね!!」 元家族たちが、自分達の周りを絶叫しながら飛び回っている。 最後に残った自分の子供が 「みんなでゆっくりしたっかたよ!」 と泣きながら目をつぶって呟いている。 少し前までは、みんなで一緒にゆっくりしていたのに。過去の楽しかった思い出が胸を締め付ける。 涙を流しながら親霊夢も 「みんなとゆっくりできないよ!」 と叫ぶ。めのまえに大きな火の玉が来る。 四方から聞こえる、声にならない声。 火の粉がついに、自分の体につく。すさまじい熱が一瞬で体を包む。すべての思考が切り裂かれ、痛みが体を支配する。 「ゆぎゅぅぅ!!!」 何も考えず飛び跳ねる。否、考えられない。 体を動かさずにはいられない。 あの草原で、子供たちとゆっくりと楽しむため飛び跳ねていたころとは違う、 痛みで飛び跳ねている。何かが体にぶつかって、そこにさらに痛みが走る。また一つ火の玉が増えた。 その五分後、残ったのは八つの炭化した饅頭と、 一輪のたんぽぽだけだった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1002.html
「んほおおおおおおおおッ!」 「すーりッ!すーりッ!んむほぉ!」 戸を開けるとお茶の間はクライマックスであった。 窓を割って家に侵入したれいむとまりさは床を泥で汚し、 障子を破り、1週間分の食料を食い散らかし、瓶に入った水を撒き散らした後 ちゃぶ台の上で絡み合い、今フィニッシュを迎えようとしていた。 「す、すすッ!すっきりするよ!すっきりするよ!」 「ま、まりさもすっきりするのぜ!するのぜぇぇl!」 汗と涎と謎の液体を撒き散らしながら恍惚の表情を浮かべる二匹。 ヌメヌメと蠢く饅頭は家の明かりが反射してテカテカと光っている。 そのヌメヌメした饅頭がこちらに気が付き、ブサイクな顔になる。 「んほぉッ!なにみ゛てるの゛ぉ!?ここは・・・れいむの・・・ゆっくりほぉ!」 「なにみてるほぉんのぜへぇ!んんっすっすっき!ぷれいす!んほぉ!」 お約束のお家宣言をはじめようとするが、クライマックスだったので すっきりとお家宣言のどちらを進行すればいいのかわからず、二つの行動が混ざる二匹。 結局、見られながらするのも悪くないのぜ、という結論に落ち着いたのか ニヤニヤとこちらを見ながらすっきりを再開する二匹 「むほぉッ!まりさ!すっきりするよ!ゆっくりした赤ちゃんを産むよほぉおおぉぉッ!」 「んっほぉぉぉぉッ!れいむぅぅ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしてい゛っ・・・」 人間はすっきりする寸前を見計らってまりさを蹴り飛ばし、となりにダルマの置物を置いた。 「すッ!すすすっき・・・ゆゆっ!?」 れいむが何時の間にやら隣に居るのがまりさでは無くダルマという事に気が付き 恍惚の表情から一転、クワッと白目を剥いた。 「だれ゛な゛の゛ッ!?ゆっぐりじないで!・・・・すっきり、ゆげぇッ!?」 スケベDVD鑑賞中、突然男優のアップに切り替わった所で絶頂を迎えてしまった時の如く テンションの低いすっきりでフィニッシュを迎えてしまったれいむ。 急激に熱が引いていく体からすっかり冷たくなった謎の液体をポタポタと滴らせ、無表情でダルマを見つめている。 一方、まりさは蹴られた事にすら気が付いておらず、うつ伏せになって必死に畳に体を擦り付けていた。 「すっ!すっ!すっ!すっ!」 もはや頭の中はすっきりの事しかないらしく、隣にはれいむが居ない事にも気が付いていない。 歯をむき出し、目を血走らせながら一心不乱に畳相手のすっきりに勤しむまりさ。 そんなまりさの後頭部に足を乗せると全体重をかけて一気に踏み潰した。 粘液だらけで湿っていたので皮は破裂せずに全身の餡子が体の下の方へ移動し、特大のうんうんを漏らした。 「すっ!すっぽろぉッ!!」 上半分を踏み潰されたまりさは動かなくなったが、 一回小さく痙攣すると次の瞬間狂ったように足の下で何度も跳ね上がった。 足をどけてやると上半分をペラペラさせながら奇声を発し、壁に体当たりを繰り返してる。 れいむの方を見ると植物型のにんっしんをしており 茎から生えてきた子供は全員れいむ種であるが、何故か全員無表情で遠い目をしている。 すっきりの相手がダルマだったからであろうか?よくわからんがおめでとう。 そんなれいむがこちらに気が付いた。 「ゆっ!さっきからうるさいよ!ここは・・・」 「ここはお前たちのゆっくりプレイスでいいよ」 「ゆっ!?」 「でも今からお兄さんのゆっくりプレイスにするよ、嫌なら勝負だ」 「ゆ゛ゆ゛っ!」 とんとん拍子で進んでいく話に対応できないれいむ ここはれいむのゆっくりプレイスと言ったものの実は人間のゆっくりプレイスという事は理解していた。 しかし、何故かここはれいむ達のゆっくりプレイスであるらしく、 それを人間が横取りしようとしていて勝負をしなくてはならない。 そういえばまりさは何処に?子供が居ては勝負どころではない。 実はれいむのゆっくりプレイスでは無いことを人間に伝えた方がいいのだろうか? しかしそれでは、れいむ達のゆっくりプレイスになったこの場所を手放すハメになる。それはこま 「ゆぴぃ!」 考えがまとまる前に人間の平手打ちがれいむの頬を打つ。 倒れこみ体が平たくなるれいむ。 その時、頭のてっぺんが突っ張るような感覚・・・ 頭から生えた茎が撓っているのだ。このままの体勢では茎は折れてしまう。 「ゆっくりおきるよ!ゆべっ!?」 れいむが起き上がった途端に再び人間の平手打ちが入る。 その衝撃に叩かれていない方も頬までブルブルと震えた。 また地面に倒れこみ茎が撓る。 「起きるんだ、これからお前を10回殴る」 「どぼじで!?」 「理解しなくていい、そうしたらまりさの怪我も治してやるし、お前たちをお前たちの巣まで送ってやる」 わけがわからない。 ふと見ると、まりさは上の部分がペラペラになって奇声を発しながら壁にすりすりを繰り返している。 一体何があったのか?しかし自分があと8回殴られれば、この馬鹿な人間は自分のゆっくりプレイスを 横取りされかかっていた事にも気が付かずに無事に巣に返してくれるどころかまりさも治療してくれるらしい。 人間は思っていた以上に力はあるが、頭は足りないようだ。 「ゆっくりりかいしたよ!とっととれいむを巣にかえしてね!」 結論から言うと、それかられいむは2回の平手打ちで根をあげた。 ゆっくりが死ぬ程の力で殴ったわけでは無い、加減をして潰れないように配慮をした。 にもかかわらず、今れいむは頭から生えた茎が撓り、折れそうになっているのも 負傷したまりさが徐々に動かなくなって壁に横たわり痙攣をしはじめたのにも関わらず。 起きようとせず、頬を膨らませ人間からもまりさからもそっぽを向いていた。 「どうした?まだ2回だぞ?」 「ゆっ!れいむはいたいのはもういやだよ!」 「茎が折れそうだぞ?このままだと子供が危ないぞ、それでもいいのか?」 「人間さんがもうなぐらないなら、おきあがってあげてもいいよ!」 「まりさはどうするんだ?ゆっくりじゃあの怪我を治すのは無理じゃないのか?」 「まりさがかってにああなったんだよ!れいむがゆっくりすればまりさはなおるよ!」 「そうしていても巣には帰れないぞ?夜になれば山道は捕食種だって出るぞ?」 「なにいってるの?ここがれいむのゆっくりプレイスだよ!人間さんはとっととでていってね!」 人間は何も言わずにれいむの頭から茎をむしり取った。 「ゆげぇ!!な゛に゛じでる゛の゛ぉぉぉ!!れ゛い゛む゛の゛おぢびじゃんがあああ!」 身を震わせ大粒の涙を撒き散らしながら号泣するれいむ。 この村では野生のゆっくりが家を荒らせば殺すことにしている。 しかしこの人間は家を荒らされても、毎回さっきのようにルール付きの暴行を加え巣に返していた。 ただ殺すよりも、人間への恐怖を植えつけて群に返したほうが、子に、群のゆっくり達に 人間は危険だという認識を植えつける事ができ、こういった事態を未然に防げると考えたからだ。 実際、いままで進入してきたゆっくり達はこの暴行に耐え、巣に帰って二度と里に下りては来なかった。 しかしこのれいむは耐えられる筈の痛みを拒否し、自分の番や子を見捨てようとしている。 おままごと感覚でまりさと番になり、人間の家に侵入し、自分勝手に子を宿した。 そして今、身を震わせて泣き喚き、被害者面をしている。 この村の生活はあまり裕福ではない。一週間分の食料は笑い事では済まされない。 村の中ではゆっくりに対して破格の対応をしていたこの人間を持ってしてもこのれいむは許せなかった。 「ぎげぇ!にんげんざん!おぢびじゃんをがえぜええええ!」 目を血走らせながら人間の足に噛り付くれいむ。 人間はそれを振りほどく、れいむは壁にあたり「ぽてん」とシュールな音を立てた。 「ゆげぇッ!い゛だい゛!」 そんな音とは裏腹に大声をあげるれいむ。それを無視して人間は部屋から出た。 暫くして戻ってくると手には黄色い液体が入った小瓶が握られていた。 それに赤ゆっくりの茎を入れる。無表情だった赤れいむ達の顔がすぐさま形相を浮かべる。 「い゛だぃぃぃぃ!い゛だぃぃぃぃ!」 振りほどいただけなのにさっきから死にそうな声で苦しんでいるれいむ。 もう赤ゆっくり達の事など眼中に無いようだ。舌を伸ばしぶつけた頬を必死に舐めている。 れいむは放置してまりさの治療をする事にする。 床にこんもりと盛られた餡子を鷲づかみにしてまりさのあにゃるから体に戻してやる。 無言で痙攣を繰り返すだけになっていたまりさの目が「んほぉ!?」と見開いた。 それから下半身?に寄った餡子を全身に行き渡るように整えてやり、頭からオレンジジュースをかける。 ぐったりとしていたまりさだったが、徐々に「なんかあまいのぜ」と言い出し回復した。 「もっとよこすのぜ」と言い出した辺りで平手を喰らわせ、ちゃぶ台の上に乗せる。 「ゆっ?ゆっ?ごはん?」 「手短に言うぞ、理解できなければお前はもう死ぬしかない、いいな。」 「どぼじで!?」 「お前らは俺のゆっくりプレイスを勝手に荒らした。わかるか?」 「わから・・・・わかるのぜ!」 本能でスッとぼけようとしたが、いとも簡単に自分を瀕死にさせた上、今こうして回復させている事に 圧倒的な力の差と今自分が置かれた立場を理解したのか、すぐさま訂正するまりさ そして自分の隣で苦悶の表情を浮かべている赤ゆっくりと畳を転げまわるれいむの姿を見つけガタガタと震えだした。 「お前は俺に何をした?言ってみるんだ」 まりさは困った顔をして震えていたが、やがてボソボソと喋り始めた。 「人間さんの巣へいったれいむをつれもどしにここにきたんだけど・・・ きがついたらこんなことになっていたのぜ・・・ゆっぐりごべんなざい・・・」 馬鹿には違いないがれいむと違って救いようの無い馬鹿では無いらしい。 恐らくれいむを止めに家に侵入したものの、ゆっくりにとっては珍しい品々に気を取られ 遊んで腹を膨らませその勢いですっきりに突入したのであろう。 「まりさはどうなってもいいから・・・れいむとおちびちゃんだけはたすけてほしいのぜ・・・」 「無理だな、れいむを見逃すつもりは微塵も無い」 「お、おぢびじゃん・・・・だけじゃ・・・しんじゃうのぜ・・・」 まりさの代わりに赤ゆっくりだけ助けても到底生き残ることはできない。 れいむも助けてもらわなければ、結局赤ゆっくりの末路は死である。 「お前と赤ゆっくりで帰ればいいだろ」 「ゆっ・・・れいむを見捨ててまりさは帰れないよ・・・」 「ぞっ!ぞうだよ!ゆっくりれいむをたすけてね!」 いつの間に話を聞いていたのか、さっきまで死にそうな顔をしていたれいむが 畳の上を跳ねながら喚いている。 「おちびちゃんはれいむがゆっくりそだてるよ!まりさはここでゆっくりしていってね!」 「ゆゆぅ・・・れいむ・・・」 「決まったな」 人間はまりさを透明な箱に入れ、ゆっくりでも部屋の全体を見渡せる机の上に置いた。 「お前は帰してやる。少しここで待っていろ」 透明な壁に顔を押し付けるまりさ 「やめてね!まりさがれいむのかわりになるからね!れいむはたすけてね!」 「ま゛り゛ざがや゛る゛っでいっでるでじょおお!ゆっぐりりがいじでねぇぇぇ!」 汁を撒き散らしながら暴れまわるれいむ。畳の上を転がりまわり、飛びはね、叫んだ。 人間はそれをただジッと無表情で見ていた。 やがて息を切らし「ゆひゅーゆひゅー」喚き疲れて肩?で息をするれいむ。 「気が済んだならはじめるぞ」 「ゆ゛っ!!ぎい゛でね゛!どうじで!わ゛がっでぐでな゛い゛の゛!?」 まりさが身代わりになると言っているんだからそれでいいではないか れいむはもう痛い目にはあいたくない、まりさが「やる」と言っているのだ。 何故こいつは理解できない?馬鹿なのか?死ぬのか?何故だ何故何故・・・ 「ぎっ、ぎげぇぇぇ!れ゛い゛む゛はい゛や゛だって゛い゛っでる゛でじょおおおお!!」 「駄目だって言ってるでしょう」 人間はれいむを座ったままの姿勢で両足に挟んだ。 村はずれにはゆっくりを殺す為の様々な器具を持っている変わった村人がいるが そんな気の利いたものはここには無い。”見せしめ”は全て素手で行わなければならない。 「まりさ、群に戻ったられいむがどうなったかゆっくりと話して周れよ」 人間は無造作に両手の爪をれいむの額に当てると一気に掻き毟った。 「ゆ゛っ!!ぎゅっ!ばっ!ばばっ!やべっ!でっ!がっ!」 バリバリと音を立てながら少しずつ削れて行くれいむ、やがて乾いた音は湿った音になり 掻き毟るたびに餡子がしぶきの様に飛び散った。 縦、横、斜め、あらゆる方向かられいむの顔面を掻き毟る人間。 「やめてね!人間さん!れいむはいたがってるよ!ゆっくりさせてあげてね!」 箱の中から人間に懇願するまりさ、人間はそんなまりさの声には一切耳を貸さず一心不乱に作業を続けた。 やがて5分もするとれいむは叫び声もあげなくなり、時折ゆ゛っ!とくぐもった声を漏らすだけになった。 人間は立ち上がりれいむを先程とは比べ物にならない程の強さで蹴り飛ばした。 パァン!と乾いた音が響き、れいむは壁にへばりついた後、 少し間を置いてからズルズルと餡子の跡を残しながら床に落ちた。 「さっきより強く蹴ったのに「いたい、いたぁい」って言わないんだな」 れいむの口から発せられるのは荒い呼吸音だけである。 「かひゅー、かひゅー」と苦しそうに苦悶の表情を浮かべている。 顔の皮はズタズタに引き裂かれ、目はこぼれてしまいそうな程見開かれている。 それを受け止める瞼はもうその機能を果たしていない。 歯はむき出しになっており、ガチガチと音を鳴らしている。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛る゛・・・じでっ!ごっ・・・!ごべな゛ざい゛」 目を泳がせながられいむの口から初めて謝罪の言葉がひねり出された。 しかし全てが遅すぎた。人間は構わずれいむの顔面の傷口に手を突っ込んだ。 「ゆ゛っ!ゆ゛ゆ゛ん゛や゛ぁぁぁぁ゛!!」 掻き毟りと蹴り飛ばしの上を行く激痛に再び声をあげるれいむ。 このまま引き散って終わりでいいだろう。ネチネチと痛めつける趣味も無い。 まりさは涙を流しながられいむの事を叫んでいる。その涙は箱に溜まる程だ。その時である。 「ゅ・・・・・」 ちゃぶ台の上から声が聞こえる 「お゛っ!おぢびじゃん!!に゛ん゛げんざん!れ゛い゛む゛の!おぢびじゃんをみで!ゆっぐりじでぇぇぇ!」 れいむが赤ゆっくりの声に気がつき、注意をそらそうと叫んだ。 黄色い液体に浸けた赤ゆっくりが早くも産まれようとしていた。 母体から赤ゆっくりの生った茎を切り離しても糖分を含んだ液体に浸けておけば問題なく赤ゆっくりは産まれる。 「ゅ・・・・がっ」 しかし今回赤ゆっくりに浸けたのは塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸などのイオン、 クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンを含む塩分が豊富な黄色い液体である。 ボトリ、と茎から切り離された赤ゆっくりは弾むことなく、地面に着いた部分は平らになりそのまま動かない。 「れ゛い゛む゛のおぢびじゃんはがわいいでじょ!!それをあげるがら!れいむはだずげでべ!」 れいむからはこの梅干のような赤ゆっくりが見えていないのか、 かひゅかひゅと傷口から空気を漏らしながら、自信ありげにれいむはゲラゲラ笑った。 この糞饅頭は産まれた子供を自分の身代わりにするつもりのようだ。 空気漏れをおこす糞饅頭の前に梅干を置いてやる。 「ゆ゛っ!?な゛に゛ごれ゛」 赤ゆっくりの目は虚ろで、歯を食いしばりプルプルと小刻みに震えている。 赤ゆっくりは前に進む事ができないので体を転がすと地面に接していた部分が粘土のように平たくなっている。 「ゅ・・・っ・・・じ・・・ね゛」 「ゆ゛ゆ゛っ!!」 赤ゆっくりは思った。ゆっくりしたいがゆっくりできない。ゆっくりできないのは何故か? ゆっくりを産んだのはお母さんである。お母さんは自分を存分にゆっくりとさせる存在だ。 それなのに産まれる前から全身に激痛が走り、ロクに動く事もできない、言葉も発せられない、 きっとゆっくりできない親から産まれたからだ。だからそんな親はゆっくりと言わず急いで死ねばいい。 「じ・・・ね゛!じ・・・じね゛ぇぇぇ!」 「ゆがぁぁぁぁ!」 小さい梅干から発せられる殺気にれいむはしーしーを漏らしながら、尻で後ずさりした。 壁に頭をぶつけ、ビクッと体を振るわせて、横方向に後ずさる。 そこには人間の足、手には茎が刺さっていた小瓶が握られている。 「だずげで!あ゛れ゛を゛ごろ゛じでぐだざい!おでがいじばず!」 「駄目だね」 小瓶に入った液体をれいむに垂らす。 「ぴっみゅぅぅぅ!!」 塩分を豊富に含んだその液体はれいむの傷口から体内に侵入した。 れいむに焼けるような激痛が走る。 春先に丸々太って窓に体当たりを繰り返す蝿のように部屋中をのたうち回るれいむ。 人間は目の前に跳ねてきた時を見計らい足で踏みつけ動きを止めた。 「はびゅっ!?」 目はギョロギョロと動き回り、舌はだらりと垂れ下がっている。 足から何とか脱出しようとあらゆる方向に体を揺さぶるれいむ。 しかしゆっくりの力では人間の力には到底適わない。 「じっじね゛ぇぇぇぇ!ゆ゛っぐり゛ごろ゛じはぞぐざに゛じね゛ぇぇぇぇ!」 もはや何故こんな目にあっているのかもわからないようだ。 いや、初めからわかっていなかったのかもしれない。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だぐな゛ぁぁぁぁい!」 見る人によってはかわいらしい顔に見えるらしいその顔の面影はもはやない。 気がつけば、箱の中のまりさは餡子を吐いて気絶している。 どうやら暫く無駄な時間を過ごしたようだ。まりさが見ていなければこの虐待には何の意味も無い。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だっ・・・ゆ゛ん゛っ!!」 人間はれいむを踏みつける力を強めた。 「わかったよ、そこまで言うなら殺すのはやめにしてやるよ、だから黙るんだ」 「ゆっ!ゆゆゆゆ!ゆっぐりりがいじだよ!ゆっぐりだまるね゛!」 汚い顔面からこぼれそうな笑みを浮かべるれいむ。 実際、眼球はこぼれかかっているが・・・ このクソ饅頭はどんなに痛めつけても反省はせず、ただ理不尽だと叫んで死ぬだけであろう。 人間はここで名案を思いついた。そんなに死にたくなければ、ずっと生き続ければいい。 ただし、ゆっくりなど二度とできないが・・・ 「ゆっ・・・?」 まりさが目を開けると周りには赤ゆっくり達が居た。全員れいむ種である。 「「「「ゅ・・・ゅ・・・」」」」 全員いびつな顔をしており、時折フルフルと身を震わせ、言葉もロクに喋れないようだが 先程の梅干のような痛々しい姿に比べたら随分とマシになっていた。 そんな赤ゆっくり達がまりさの横でゆっくりと体を揺らしている。 恐らくはすりすりのつもりなのだろう。 「おっ・・・おちびちゃん・・・!に、人間さんが治してくれたの!?」 「そうだ、オレンジジュースだと溶けて死んでしまうかもしれないと思ったからこれを使ってみた」 人間の手元の壷の中に入っているのは蜂蜜であった。 梅干のようになった赤ゆっくり達の体を蜂蜜でコーティングしたのだ。 それをゆっくり吸収して干からびた粘土のような体は幾分か回復した。 と、行っても普通の赤ゆっくりには程遠い、そしてこれからもこれ以上の回復の見込みは無いだろう。 「ゆっ!まりさ!そんなゴミクズはほおっておいてとっととこっちへきてね!」 「ゆゆっ!?れいむ!?どぼじで!?」 まりさと赤ゆっくり達が入った箱の隣にはそれよりやや小さいサイズの箱がありその中にれいむは居た。 れいむもまた皮に爪の跡が薄っすら残っているが、先程とは比べほどにならないほど元気になっていた。 「れいむはゆっくりはんせいしたよ!だからもっとあまあまをちょうだいね!」 人間は無言で壷の蜂蜜をすくいれいむに垂らす。 それを大きく開けた口で受け止めると、身を震わせて喜んだ。 「うめっ!めっちゃこれうめっ!じあ゛わ゛ぜッ!」 「ゆゆ!どういうことなの?人間さん!?ほんとうにれいむをゆるしてくれたのぜ!?」 「そんなワケ無いだろ、これから仕上げだ」 れいむは人間が殺さないと言い、手当てをはじめたので勝手に許されたと思っていただけだった。 人間はガムテープをれいむの口に貼った。 「ゆむぅ!?ゆゆゆゆゆゅ!?(なにしているの!?)」 そして箱に壷に入った蜂蜜をどんどん流し込んでいく。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?(やめてね!おぼれるよ!!)」 あっという間に箱の中は蜂蜜で満たされた。粘液の中を漂うれいむ。 人間は箱の蓋を閉め針金を使って蓋を固定している。 「ゆ゛っ!ゆ゛!ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 息ができずにもがくれいむ。しかし口を塞がれて蜂蜜を飲み込む事ができない。 これでは餡子を吐き出して気絶して苦しみから逃れる事もできない。 「ゆ゛っ!!む゛っ!!むごっ!!ばびひ!!」 苦しさから物凄い勢いで体を収縮させるれいむ。高速でのぷくぅ!とぷひゅるる!の繰り返しである。 顔を真っ赤にし狭い箱に体を押し付けてもがいている。 ゆっくりの餡子脳でも即座に理解した「出口は無い」 しかしそれでも無い出口を求めて箱の中で身をくねらせ続けた。続けるしかなかった。 そしてもうひとつ理解した。 粘液の中では溶けて死んでしまう事もできなかった。 これからずっと箱が壊れるまでの数ヶ月、あるいは数年かを窒息の苦痛に顔を歪ませながら動き続けるだろう。 それから数時間後、人間とまりさ達はゆっくりの群を目指し、夜の山道を進んでいた。 「置いていくぞ、はぐれたらすぐに捕食種が来るだろうな」 赤ゆっくりを帽子に乗せすり足で進むまりさと比べて人間の足取りは速かった。 「ゆっ!まってね!人間さん!まりさはそんなにはやくうごけないのぜ!」 「知らないね」 人間にとってまりさはもう必要では無くなっていた。このれいむの箱だけで群のゆっくりの脅しには十分だ。 この箱を群の集落の中央に設置すれば、馬鹿なゆっくりでも毎日人間の怖さを痛感するであろう。 ゆっくり達が巣を捨て山から離れればそれはそれでもいい、そうしたらこの箱と同じものを山の至る所に設置しよう。 そうすれば山を住処にするゆっくりなど今後現れないだろう。 「ゆぅ!まってね!ゆっくりしていくのぜ!人間さん!」 まりさが通った地面には餡子がこびりついている。 足の裏の皮が破れたのであろう。人間との距離は更に広がっていく 「ゅ・・・ぉ・・・が・・・ぢゃ・・・」 「ぎょ・・・・ゎ・・・ぃ・・・ょ・・・」 赤ゆっくり達も帽子の上でガクガクと震えだした。人間の姿はもう豆粒ほどの大きさになっている。 れいむはまだ死んではいない、人間が帰ったらゆっくりと箱から出してあげればいい おちびちゃん達もどんどん回復している。 きっとこの調子なら他のゆっくりと同じようになるのにはそう時間はかからないだろう。 でも今は足が凄く痛くて、周りはとても暗くて、どうしようもないくらい怖かった。 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」 呪文のようにゆっくりを連呼するまりさ、 果たして群のゆっくり達は、れいむを箱から出すのに協力してくれるだろうか? 全然ゆっくりしていない赤ゆっくり達は群のゆっくりに歓迎してもらえるだろうか? これだけ餡子を漏らしたまりさを捕食種は見落としてくれるだろうか? 「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくり!!」 まりさは声を張り上げた。もう人間の姿は見えない。 餡子の匂いに気がつかなくても、この声は捕食種に届いたかもしれない。 また少し、まりさの生存の可能性が減った。 おしまい このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/152.html
こんにちは、真実を常に追い求める孤高の記者、射命丸文です。 今回の取材にいきますのは、人間たちの畑。 最近、話題になったある作物に関する畑です。 おっと、「文々。新聞」は別に農業の業界紙ではないですよ。 私が出向くのは、そこに読者の興味を引く異変があるがゆえ! これから赴きますのは、家屋内にある大農園。それも、場所はあの知る人ぞ知る加工所です。 どうです、少しは興味がわいてきたでしょう。 では、興味がわきましたら、この「文々。新聞、購読申込書」へサインをどうぞ。まずは六ヶ月間購読でいかがでしょうか。 大丈夫、内容は保障します。どこぞの賽銭箱に投げ捨てるより、よほどいいお金の使い道になるでしょう。 それに、今なら毎月うちの犬走椛を集金に向かわせますよ。毎月、上目遣いで「お、お願いします、怒られちゃいます……」と涙目であなたの袖にすがりつくんですよ! ……はい、まいどありー。 『射命丸の突撃リポート、ゆっくり農園の謎』 「量産化の成功が、業績悪化のきっかけとなってしまいまして」 ため息混じりにそう語ったのは、今回、我々を案内してくださるゆっくり加工所の主任さん。 その指し示すグラフを見ればわかるとおり、ゆっくりの繁殖と効率のいい餡子の収穫方法で潤沢な在庫を抱えることになりましたが、そのために単価が暴落。気候で収穫量が激変することから、かつては赤いダイヤモンドとまで呼ばれた小豆市場も見る影もなしという有様で、バランスシートを見るまでもなく採算割れがうかがえます。 「甘味だけでは需要の限界があるのですよ」 在庫の山を見た記憶が蘇ったのか、主任さんは若干青ざめた顔色。 確かに甘味というのは嗜好品。その上、ゆっくりの案は腐敗します。需要を上回るだけ生産しても、消費されずに損が増えて単価を押し下げるだけ。 生産調整をするのが一般的だとは思うのですが…… 「ゆっくりは繁殖が簡単ですから、うち以外にも生産者がたくさんおりまして……正直、把握しきてれいないために音頭をとって調整とはいかないのです」 なるほど、中々利害関係の絡みそうな話で大変面白そうですね。 その辺のこと、詳しく。 ……あ、今日の取材とは関係ないですか。 「もちろん、うちもただ手をこまねいているわけではなく、いろいろと新商品の開発で需要の掘り起こしを狙っているのですが」 あ、今年はゆとり線香に大変お世話になりました。 ゆっくり羊羹、大変おいしゅうございました。水羊羹、この時期には堪りません。インスタントゆっくり汁、椛の哨戒の必需品です。 はい、ヒモ付き取材なのですいません。でも私、嘘は申しません。真実の報道記者、射命丸ですから。 そんなことを考えながら、文花帖にペンを走らせていますと、主任さんのため息が聞こえてきました。 「とはいえ、焼け石に水といった有様で、ついに資金繰りに窮してゆっくりの買取も中止したこともあります」 覚えています。加工所のゆっくり買取の中止は、野良ゆっくりの放置と生息数の拡大、人間社会への被害をもたらしました。 完全にゆっくりを駆除する選択肢も検討されましたが、結局は補助金がついて、かろうじて存続できた制度。 それがこのところ、急にゆっくり需要が高まってきました。 益獣から害獣となって絶滅すら視野に入ってゆっくりを救う、突然の需要増。当然、裏には加工所の存在がありました。 それこそが、私が今回こちらに取材に参りました最大の理由です。 さて、おとなしく吐いて下さいね。 「それは、発想の転換でした。私たちは餡から野菜に生産をシフトすることで、苦境を乗り越えたのです」 野菜? ゆっくり加工場から野菜とは面妖な話です。 「まあ、百聞は一見に如かず。ちょうどこれから作業が始まるところですから、行ってみましょう。農園へ」 頭をかきながら立ち上がる主任さん。 私はその後姿を追いかけて、加工所の最深部へと向かいます。 「ここが、ゆっくり農園です」 主任さんの肩越しに見える室内。 まず、驚いたのはその広さです。 私の速さをもってしても向こう側の壁まで、分単位を要するでしょう。紅魔館の図書館を移設できそうなほど。 次に目を引いたのは床の構造ですね。その床には向こう側の端まで続く長方形の四角い窪み。それが何列か並んでいます。 四角い溝が何本もの入った床とだだっ広い空間。この部屋を端的に言い表すと、そうなります。 思わず写真を一枚。 薄暗い室内に輝くフラッシュの光。 そういえば、この暗さで植物が育つのでしょうか? 「射命丸さん。あちらの区画で今から栽培を始めます」 主任が指し示した一角は、不思議な光景となっていました。 前述の四角の窪み。 ですが、よく目をこらすとその溝はぎっしりと肌色の何かで覆い尽くされています。 あれこそが、この加工所の秘密なのでしょう。 私は主任さんに案内されるのを待つことすらもどかしく、その傍らに降り立ちました。 その窪みに詰め込まれた肌色を覗き込もうとして、私は気づきます。 いえ、正確にはそいつら自身から答えが聞こえてきました。 「ゆっぐり……ざぜでええ……」 「ゆゆゆ……」 「おねーさん、ここからだして……おうち、かえる……」 それらは、なんと巷で話題のゆっくりたちでした。 れいむ種、まりさ種などの雑多な種類のゆっくりたちが、天井を向けられた体勢で隙間無く四角の窪みに敷き詰められ、気色の悪いゆっくりプールができあがっています。 上を向いて身動きもとれず、お気に入りの帽子もリボンもひしゃげたまま、ただ流れる涙。 その珍妙な姿に、私の部下カラスの文々丸も興味を引かれたのでしょう。 いつの間にか、ゆっくりの絨毯をきょろきょろと動き回っていました。 こらこら、商品を傷つけたらだめじゃないですか。 「ゆぐっ!」 「づめが、いだひいいい!」 ……まあ、いいような気がしてきたのはなぜでしょう。 ともかく、私たちがいるこの空間は、果たして何なのでしょうか。敷き詰めたゆっくりの意図は一体? 「それは、苗床です」 疑問に応えてくれたのは、私に追いついてきた主任さん。 苗床という言葉の意味を確認しようとしたその時でした。 「あ」 短い主任さんの声。その視線は私の後方、『苗床』の位置で固まっています。 なんでしょうか。 振り向く私。そして、その視線も固まります。 「カラスさん、まりさをゆっくりもちあげてね!」 「ずるいよ! れいむも連れてってね!」 苗床のまりさの口に足でも突っ込んだのか、噛み付かれている文々丸。 ばたばたと翼をはためかせて逃げようとする文々丸を離すものかと、真っ赤な顔でしつこく食い下がっている。 あの腐れ饅頭野郎、私の可愛い文々丸になんてことを! 「ガア!」 無論、文々丸はゆっくりごときにどうにかできるようなカラスじゃない。だって、私の部下なんだから。 「まりざのおめめがあああああああ!!」 一際高いまりさの悲鳴。 文々丸のくちばしには、たった今えぐりとったばかりのまりさの眼球らしきものが。 「まりさのきれいなおめめがあああ!?」 「からすさん、か゛え゛し゛て゛ええええ!」 ひたすら泣き叫ぶまりさに代わり、隣のれいむの絶叫。夫婦なのだろうか。 まあ、そんなことは文々丸には興味がないことだろう。 「ゆぐううう! 今なら許すから、かえじでぐだざいいいい!」 そんなこと言われても、文々丸はもう目玉をのみこんでますよ、ごくんと 「どうじでぞんなごどするのおおおおっ! まりさを怒らせたら、からすさんもただじゃおかないよおおお!!」 えらい剣幕ですが、毛づくろいにふける文々丸に耳に届いたかどうか。 代わりに私が怖がってあげましょう。 おお、こわいこわい。 ……て、我に返ってみると、これはまずいですね。 取材対象の財産を損壊したことになります。 ちらりと主任さんの顔を見てみます。 私に向けられていたのは請求書ではなく、なぜか笑顔でした。 「いや、別にゆっくりは生存していればどんな状態でもいいんですよ……おや、準備ができたようです。さ、作業開始ですよ」 言いながら、部屋の隅に向かって手を振る主任さん。 気がつけば、そこに作業服姿の従業員さんが数人。それぞれ、その両手に抱えるのは柵。手馴れた動作で、ゆっくりの苗床を囲むように 柵を立てていきます。 ただし、完全には囲みません。 一方に出入り口をつくって、そのまま部屋の片隅へと柵で通路をつくっていきます。その通路の先は、壁面に小さく張り出した扉へと。 こうして出来上がったのは、扉から苗床までをぐるりと囲む柵の通路。 主任さんは準備が整ったのか、こほんと咳払い。 「まずは、種まきからです」 種まき。 主任さんの言葉に、私は籠に種籾を入れた農家の姿を思い浮かべますが、それから始まった光景は、まったくそれとは似ても似つかぬものでした。 主任さんの合図に合わせて開放される通路に接した扉。 同時に、加工所を揺るがした凄まじい振動でした。 「まっまっまっ、まりさああああ!!!」 「まりさはどこおおおおお!!!」 「れいありもいいよねええええ!!!」 「ぱちゅありも、じゃすてぃいいいいっす!」 扉の向こうには、地鳴りを響かせてゆっくりありすの、顔、顔、顔。 何十匹いるのでしょう。 魔法の森のアリスさんとは似ても似つかぬゆっくりアリスの群れが、性欲にテカテカと輝くアリスの瞳が、次から次と扉の向こうから姿をあらわします。 共通するのは発情しきって上気した赤みと、血走ってまりさを求めるその眼。 すごいです。 そういえば、先日うっかり毒きのこを食って寝込んでしまった魔理沙さんを、文句を言いながらも看病を続けたアリスさん。 深夜二時頃、熱にうなされ、胸元をはだけて荒い寝息を吐き出す魔理沙さんをじっと見下ろすアリスさんの相貌を、なぜか不意に思い出しました。 もちろん、それは本件とはまったく関係ございません。上海人形に八つ裂きにされたネガも戻ってきませんし。 さて、ゆっくりありすの集団は後続に押し出されるように、通路を前に前に進んでいきます。 向かう先は、ゆっくりの苗床。 その待ち受けるゆっくりたちは怒涛のように押し寄せるアリスの足音には気づいていますが、なにせ天井しか見えない体勢のため、何が起こっているのかわかりません。 歯を食いしばり、流れる涙を増やすばかりです。 ですが、足音が止んで見えるのは、覗き込む同じゆっくりの顔。通常なら、親切な性質を持つゆっくりありすのものです。 助かったと思ったのでしょうね。 「ゆっくり、ひっぱりだしてね!」 髪の毛や装飾品すらも詰め込まれて、唯一相手が噛んで引っ張り出せる舌を伸ばします。 けれど、ありすの受け止め方は違いました。 「いきなり、でぃーぷなんて、まりさは焦りすぎよ!」 「でも、大丈夫! ありすがきちんとリードしてあげるね、まりさああああ!」 数十匹のアリスが、ゆっくりの苗床にびっしりと圧し掛かり、下を向くなりいきなり響きわたる湿った音の大合唱。 くぐもった下のゆっくりの絶叫と、とろけたようなアリスたちのあえぎ。 新しい拷問のようで、思わず私は耳を塞ぎたくなるものの、加工所の方々はまったく平気な顔。 顔色一つ変えず、今回の予想収穫量なんかを話しています。 人間の主な特徴、適応性というものは一種の狂気ですね、ほんと。 「まりさまりさまりさああああああ!!!」 「やめでええええ!!! すっ、すっきりしちゃううううう!」 「やめては、とかいではやめないでということよおおお、いぐううううううんほおおおおおおお!」 「ひぎいい、隣にれいむがいるのにいいいいい、いぎだぐないいひぎいいいいいい! ずっぎりいいいい!」 最後の抵抗の声もむなしく、まりさたちの悲鳴をバックに種まきは終わりました。 いや、終わったと思ったのですが。 「あと、2セット」 冷静な主任の言葉に応じて、一斉に苗床に向かう職員たち。 ご丁寧にも、すっきり満足していたアリスたちを揺らし、再び発情へとのぼらせていきます。 こんな変態生物の発情を助けるぐらいなら馬でも種付けでもした方が100倍マシだと思うのですが、そこはプロ根性。匠の技です。 「だめだよおおお! あかじゃん、ごんなにでぎだら、じぬのおおおおお!!」 ねとねとの粘液に覆われたれいむの顔が、目を血走らせて必死に叫んでいます。 「そんなことより、アリスをちゃんとすっきりさせてね! きっと、愛があればだいじょうぶなの!」 ですが、そんな愛の足りない戯言はアリスに通じません。すぐさま、欲情の囀りにかき消されるばかり。 結局、アリスが職員に引き離されて扉に蹴りこまれるまで「種まき」は続きました。 ゆっくりの生態の神秘は、やはりこの生殖後の反応でしょう。 犯されつくしたゆっくりたちから、次々と発芽する茎たち。 通常茎が生える頭の上は他のゆっくりや壁に塞がれているので、唯一の隙間、天に向けてにょきにょきと伸びていきます。 これが、種まきの成果。 この伸びた茎が、加工所の新たな生産物とのことです。 出産後、親が朽ちても赤ちゃんをしばらく育てられるほどに栄養価が高く、人間にとっては煮ると口当たりのよい、ほのかな甘味が野菜嫌いのお子様にも人気の新商品。ゆっくりの茎。 まさか、ゆっくりから野菜がとれるとは驚きです。 「次は、肥料ですね」 ですから、各工程の呼び名が農業のような呼び名になるのでしょう。 確かに、アリスに蹂躙されて黒ずみ始めたゆっくりたちの様子からすると肥料は必要なように思えますが、さて何を与えるのでしょうか。 応えは、手押し車に詰まれた黒い物体でしょう。 植物であれば、まず間違いなく腐葉土の黒土でしょうが、相手はゆっくり。 「あれは、餡子ですか?」 「そのとおりです」 私の問いかけににっこりと応じる主任さん。 こうしている間にも、「むーしゃ……むー……」「……しあわせー」「めっちゃ……うめ……」と、かすれた声が響いてきた。 ゆっくりの中身も餡子だけに、効果は抜群といったところでしょうか。 「餡子は、繁殖もできなくなった末期のゆっくりや、商品にならなかったもの、間引きした子供らを与えています。化学肥料を使わず、コストにも気を配っています」 主任さんの淡々とした説明に、経営不振を乗り越えたこの加工所に培われたコスト意識が伺えます。 こういう企業は力があります。株を上場するときは教えてください。けして、私はインサイダーなど行いません。 それはともかくとして、ゆっくりたちはその栄養満点の肥料に元気を少しだけ取り戻していました。 そんな中、主任さんは次の指示を伝えます。 「さて、次はお水をあげましょう」 水? 見れば、桶に汲まれたオレンジ色の水がめを台車にのせて、従業員たちが押してきます。 はてさて、あれは一体なんなのでしょうか。 膨らむ私の期待でしたが、私の期待は報われません。 本当に、主任さんの言葉とおり、染料でオレンジ色に着色されただけのただの水でした。 ですが、それを知るのは私と職員の方々だけ。当然、ゆっくりは知りません。 「ほうら、口を開けろ。オレンジジュースだぞー!」 棒読みの職員の台詞を耳にするなり、一斉に口を開くゆっくりたち。 ひしゃくで注ぐそのオレンジ色の液体を一滴ももらすまいと、食虫花のようにぱっかりと大口を開けています。 その間抜けな光景に脱力の私ですが、ゆっくりたちの反応は、さらに私の足腰から力を奪うものでした。 「うっめ、これ、めちゃうめ!」 「しゅっごく、おいしい♪」 「あんまあああああい!」 なんですか。 ゆっくりとはいえ、蒙昧すぎるでしょう。 「プラシーボもあるでしょうが、たっぷり口に水を含んだせいで、口の中の餡子が溶けているんですね」 「でも、それじゃあプラマイ0では」 「いいんです。これは、ゆっくりたちの心のケアですから」 ゆっくりの心なんか、ケアする必要があるのでしょうか。 それならば、霊夢さんに「印刷してある文字が邪魔だから、今度から白紙で頂戴。森近さんに売るから」と、凄まじい要求をされた私の心をまず最初にケアしてほしいところですが。その日の夜のお酒は、ひどくしょっぱい涙酒。霊夢さんは時々、無意識に萃香さん以上の鬼ですよね。 そんな感じに私がちょっぴりブルーになっているというのに、ゆっくりたちからは案の定な能天気な声が沸き始めます。 「すっきりしたよ」 「この子のために、がんばれるね!」 顔面から伸びていく茎も色艶がよく、その先に鈴なりにふくらみつつある子供の実。 実ってしまえば、可愛いわが子なのでしょう。 「ゆー……♪ ゆゆーゆー♪」 「ゆっくりそだってね」 「まりさの赤ちゃんが、いちばん大きくてゆっくりしているー♪」 歌ったり、話しかけたり、自慢したり、ゆっくりたちはたちまちのうちに元気を取り戻していきます。 もうすぐ、この実がぷっくりと膨らんで子供をなすのでしょう。 「では、次は害虫駆除と茎の手入れです」 主任さんの宣言に、不意に私はリグル・ナイトバグさんを思い出します。なぜでしょうか。 ともかく、確かに害虫というのは問題ですね。 風見幽香さんなら、リグルさんの首に腕を回しながら耳元にそっとお願いすれば済む話でしょうが、人間はそうもいきません。 まず、職員が最初のまりさと向き合うように覗き込みます。 「ゆ? お兄さん、まりさのこどもゆっくりしているでしょ♪」 「れいむの方がもっとゆっくりしているよ! とくべつに、お兄さんもゆっくり見ていっていいよ!」 対抗するれいむたちの声は、おそらく職員の方にとって耳朶を吹き抜ける風のうねりのようにしか感じていないのでしょう。 無言でその手を茎へと、その茎に実る赤ちゃんへと伸ばしていきます。 「ゆ! 赤ちゃんを、いいこいいこしてあげ……」 ブチャ。 湿った破裂音が響きました。 職員の方は一瞬で至福から白目をむいた表情の親を気にもとめず、その手を次の実へ。 「お、おにいさん?」 ブチ。 「なっ!?」 ブチ。 「やめ……」 ブチャ。 「あがちゃ……!」 ブチャ。 ろくな台詞言えないまま、瞬く間に手馴れた手つきで赤ちゃんを全て潰された親まりさ。 もう、口を開いたまま固まってしまっているが、やがてぷるぷると震えだします。 「ま、まりさのあがぢゃんがあああああああああ!!!」 その言葉がゆっくりたちの間を漣のように駆け巡っていく。 「どうじだの、まりさああああ!?」 不安と恐怖にまみれた仲間たちの声も、あえぐような嗚咽が応じるのみ。 再び始まる身動きできず、周囲の様子も伺えない狂乱のゆっくりタイム。 特に、その隣で赤ちゃんの顛末を視界の端に捕らえていたれいむは、笑顔がひきつって今にも崩れだしそう。 そのこわばった笑顔は、やがて媚びの色彩をともなって職員の方に向けられるのですが。 「れ、れいむの赤ちゃんは大丈夫だよね! だって、こんなにかわい……」 ブチ。ブチャ。ブチャ。プチ。 「がわいいのにいいいいい、なんでええええええっ!?」 職員の指先は熟練の動きでした。 一息に、れいむに芽生えた命をこそぎ落とします。 あとはもう、流れるような作業の連続でした。 「こどもだけは、ゆっぐりさせ……ああああああああああ!!!」 「早く、うまれでええええええ……っ! ゆっくりしないでえええ、ゆぎいいいいいいい!!」 「初めてのこどもなのおお、もってかないでえええ……むきゅううううううううん!」 職員の方が一歩進むたび、茎の成長を阻害する害虫たちは的確に駆除されていきます。 食の安全が叫ばれる今、このように薬品に頼らず、手作業で剪定していく細やかさに思わず感動してしまいます。 「さて。この作業はしばらくかかりますので、一足先に収穫間際の畑をごらんにいれましょう」 私が一通りその様子を写真に収めると、それを見計らって声をかけてくれる主任さん。 案内されて行ったのは、今の畑とは反対側の一角。 青々とした茎は豊かで、かすかに揺れる様子はまるで湖畔の波のよう。圧巻の光景。 害虫をきっちり駆除して手入れをすれば、ゆっくりの茎ですらここまでに実りを結ぶのでしょうか。 「これでも、本職の農家さんに比べるとまだ素人仕事なのですが」 主任さんの言葉は明らかに謙遜ですが、新規事業として進出しただけに農家への兼ね合いもあるのでしょう。 私も余計なことは言わず、ただその鮮やかな緑に見蕩れていました。 とはいえ、私には記者としての役目があります。しゃがみこみ、その茎を一本もちあげてみますと、ずっしりとした手ごたえ。 「おもい……よ……」 「ちぎれえ……」 「あかちゃん……あかちゃん……」 かすかに聞こえるのは、ゆっくりのうめき。 新鮮なはずです。苗床すら生きているのですから。 「実は、先ほどの状態からここまで育つのに十日もたっていません」 主任が自負と、ちょっぴりの自慢を秘めた口調で話し始めます。 ゆっくりの生命力は、まさに恐るべし。 けれど、脅威の生命力に驚くにはまだ早い。 「それどころか、数日おけばまたこの畑で連作が可能なのです。」 それは、人間生活にどれだけの恩恵を与えることでしょう。 うまく流通にのれば、博麗神社の貧乏人ですらビタミンB2やベータカロチンを摂取できます。もう、障子の紙を食べる必要はありません。 ……ごめんなさい、一部悪意に基づいた偏向記事がありました。 それはともかく、ゆっくり農園。 実に魅力的な存在ではないでしょうか。 おかげさまで、取材当初の思惑を超えて実に有意義な取材となりました。 そのことを、快く取材に応じていただきました関係各位に深く謝意を表し、今回の取材の終わりの言葉と代えさせていただきます。 以上、現場の射命丸文でした。 PS: 以前のゆっくりの単価暴落で一時は捕獲者がいなくなり、触れすぎた野生ゆっくりたち。 有益性も低い害獣のために全面駆除が検討されておりましたが、今回の発明と、ゆっくりを 愛好する諸氏及びゆっくりを虐待する諸氏の嘆願により、全面駆除は見合わせとなりました。 ゆっくりは、いつ幻想から消え去るかわからない、儚いもの。 息の長いお付き合いを、節に望むところであります。 by小山田 茎トークから、妄想拡大。 あと、地霊殿の委託までちょっとだけお休みします。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/166.html
※ページタイトルにもあるように投棄場のSSです。 このSSにはゆっくり同士の交尾を含みます。 ※都合至上主義の設定注意。 以下本文まで空白を開けます。 みたくない人は戻ってください。 「ゆっくりの出産」 ここはゆっくりがたくさん住む森。 森はすっかり紅葉にまみれていた。 ゆっくりにとって秋とは備蓄をする季節だ。 冬になると体温調節機能のないゆっくりは凍死し、 体温調節機能のあるゆっくりちるのなど、まれな種が活動を始める。 食料がなくなると彼(彼女?)たちが人間から冬野菜をもらってくる。 これで備蓄が足りなかったとしても春まで生きていける。 「ありす、わたしあかちゃんがほしいの」 ここにいるのはゆっくりぱちゅりー。冬が近いというのに子作りを求めている。 「うれしい…でもいまからはふゆだからできないよ」 相手のゆっくりありすが言う。 今種がつくと実際に生まれる時は「寒中出産」となる。 正常に生まれてくる子供も少ないし、ゆっくりにとっては備蓄の問題もある。 ちるのやもこうに食べ物を持ってきてもらっても子供の分が足りるとは限らない。 「むきゅ。だいじょうぶよ。これをみて」 ぱちゅりーが指したもの、それはありすに内緒で貯めていた莫大な量の備蓄。 悪徳まりさが来ても、おそらく量に負けて食べられないほどの量。 ぱちゅりーは自分の種族故、冬を越してから子作りするとは考えられない。 体の弱いぱちゅりー種は冬の寒さだけで死んでしまうことがある。 おやがうまれながらにいないこはふこうだ。ぱちゅりーはそう考えていた。 春にありすと出会ってから貯めていた、一種の賭けである。 「わかった。じゃあくらくなってからにしようね」 ありすの同意が得られた。 夜。 ありすはぱちゅりーのおうちに行った。 成功すればありすはぱちゅりーのおうちに引越し、家族の一員となる。 ぱちゅりーは受けに回れない。 受けに回っただけでも、「まむまむ(ゆっくりの雌の生殖器官)」に「ぺにぺに(ゆっくりの雄の生殖器官)」を入れられた衝撃で餡幹部がやられて死亡、生きていても廃人になってしまうことがざらだ。 ゆっくりは雌雄同体であるので、攻めにも受けにも回れる。 「むきゅ///」 ぱちゅりーは「ぺにぺに」を出し攻めに回る。 「ありすもはやくまむまむだしてね!!!」 ところが。 「むきゅ?ありす、ぺにぺにがでてるよ」 受けなのに「ぺにぺに」を出しているありすに、ぱちゅりーは疑問符を投げかける。 「ゆぅ…じつは…」 ありすが話し始めた。 このありす、生まれた時から「まむまむ」がなかった。 気づいたのは強姦まりさに襲われた時。 その強姦魔は「ぺにぺに」をせり出し襲いかかってきたが、途中ですたこら逃げてしまった。 その結果わかったのが、「じぶんはあかちゃんをうめない」ということ。 ありすはきれいだったので幾多のゆっくりと付き合ったが、最後には「まむまむ」が出せないせいで みんな恋人からいい友達になってしまうのだった。 ああ、わたしのこいってみのらないのね。 ありすがそう思ったときだった。 「なら、ぱちゅりーがまむまむをつかうよ!!!」 「ゆ!それじゃぱちゅりーがしんじゃうよ!!!」 ぱちゅりーの予想外の一言に驚く。 「あさまでゆっくりすっきりすれば大丈夫だよ!だからしよう!!!」 ぱちゅりーは自分が受けですっきりしたいこともある。 そのとき、相手にゆっくりすっきりすることを要求すればいい。 母から教わったことだった。 「わかった!じゃあゆっくりすっきりしようね!!!」 ありすがゆっくりとぱちゅりーに近づいていった。 ぺにぺにがまむまむに入りきるまで1時間かかった。 「「ゆ…きもちいい…」」 まるで同一人物のように異口同音する。 「じゃあ…すりすりするよ…」 「いいよ…ゆっくりね…」 すり…すり…とゆっくり顔をこすりあう。 傍目には動いてないようにすら見える。 すりすりは朝まで続いた。 「はあ…はあ…もういくよ…」 すりすりした興奮でしっとりしたありすが言う。 「むきゅう…ぱちゅりーもうはじけちゃいそう…」 同じく興奮でしっとりしたぱちゅりーが行為の感想を述べる。 「「あ…あ…あああ!」」 双方求愛の頬ずりに近い速度ですりすりしあう。 お互いを絶頂に導いていくすりすり。 行為の終わりは近い。 交尾の終わりはゆっくりしたものだった。 普通の交尾の始まりほどの速度で体をこすりあう。 そして、他のゆっくりが起きそうな大声で絶頂のしるしを叫ぶ。 「「しあわせ~!!!!!!」」 そして、子作りは始まった。 ありすのぺにぺにからありすの体内のカスタードが出される。 それはぱちゅりーのまむまむの中のうぐいす餡と混じり、ひとつの新しい命を作る中身を生み出した。 1時間かけてゆっくりと抜くありす。 二人には何かを成し遂げた達成感を顔に表していた。 「ありす…やったね…」 「またすっきりしようね…」 その日は二人とも幸せそうな顔で明日まで寝た。 冬。 土でふさがれたおうちの中にぱちゅりーとありすがいた。 「ゆ゛!!」 「ど…どうしたのぱちゅりー!!」 「う…うまれる!!!」 たいへんだ。 あかちゃんがぶじにうまれてくるじゅんびをしなくちゃ。 そう考えたありすはまず備蓄を持ってきて、広い積みわらを作った。 ぱちゅりーとうまれる子供のうける衝撃を減らすためだ。 「がんばってこのうえにのってね!」 「ゆぐぐ…ぱちゅりーはつよいおかあさんだからがんばるよ!!」 もともとぱちゅりーがいた場所も積みわらで埋める。 また、可能な部分は壁も積みわらで柔らかくした。 「ありす!もうでてくるよ!」 ぱちゅりーが叫ぶ。 「ぱちゅりー!よこになってね!」 ありすに言われたとおりごろんと転がる。 「ゆうううう!!!」 出産が始まった。 右のほほが大きく膨らんでくる。 それが一部色を帯びてくる。 紫。黄色。白い色。 「ゆぱっ!」 ほほが切れて、積みわらに落ちた。 「やったねぱちゅりー!」 「あかちゃんはどこ?」 「そのふくろのなかだよ!」 ぱちゅりーは袋と呼ばれた元・自分のほほを口できれいに開けていく。 袋がばさりと下に落ちた時、3匹の赤ちゃんが生まれた。 赤ちゃんは目を閉じて眠っている。 「「みんな!!!ゆっくりしていってね!!!」」 すると、一斉に目を開けて 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 と返した。 「ゆ…こんにちは!うまれてきてくれてありがとう!」 ぱちゅりーとありすは涙ながらに子供たちと触れ合った。 その後、子供達は親と一緒に冬を越し、 他の家族の子供たちとすくすく育ち、 そして立派なゆっくりとして親元を巣立っていった。 思いついたのがアブノだったんで。 やさしいゆっちゅさんならどんなゆっくりの愛でも受け入れてくれると思ったんだ。 + ... ふう・・・。 -- 名無しさん (2008-09-10 00 07 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5213.html
初投稿、虐待描写少なめ。 ゆっくり包丁とお兄さん 「おきゃあしゃああん!ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁっぁ!!」 「お姉しゃん!?こっちこにゃいでね!?こにゃいでぇぇぇ!!」 ガラス製のボウルにいれられたゆっくり達が体をぐねぐねとくねらせながら泣き叫んでいます。 知能の低い赤ゆたちでも親ゆの無残な姿を見れば、自分達が何されるかぐらいは解るのでしょう。 私はゆっくりれいむだった物からゆっくりと「ゆっくり包丁」を引き抜くと、ボウルの赤ゆに手を伸ばします。 「まりしゃはおそらを・・・ゆぴぃぃぃぃ!!」 「ゆわぁぁ!いもうちょー!」 私はその小さなゆっくりまりさに包丁を・・・ 私が「ゆっくり包丁」に出会ったのはもう5年も前のこと。 料理学校に通うことになった私に、父が包丁を買ってくれました。 次の休みの日に一緒に買いに行こうと父が言ってくれて、休みの日が待ち遠しかったのを覚えています。 そして当日、街の金物屋に行った時その包丁はありました。 野菜を切る包丁、お魚を切る包丁、普通の包丁、それらと一緒に並んでいたその包丁は、 今まで見たことのない不思議な形をしていました。 「それはね、ゆっくり専用の包丁さ」 隣にいたお兄さんがそう言いました。 「ゆっくりはね、苦しめば苦しむほど甘みと弾力が出て美味しくなるんだ、 余計な傷が付かないような鋭い刃、あえて傷を付ける鋸のような刃、 側面で潰したり叩いたり出来るようにそれなりの厚さと重さにしてある」 そう教えてくれました。 「この包丁に興味を持つなんて、君は虐待おn・・・いやいや料理人としての見込みがあるね」 そう言って私の頭をポンと叩くとお兄さんはお店を出て行きました。 その日は普通の包丁を買って貰ったのですが、私は「ゆっくり包丁」の事が気になって仕方ありませんでした。 ゆっくりって美味しいのかな、どのくらい甘くなるのかな、包丁高いかな、そんな事をいつも布団の中で考えていました。 今思えば、その時からもう私はその「ゆっくり包丁」に魅せられていたのです。 昔のことを思い出しながら私は下ごしらえを終えました。 さっきまではやかましかった厨房もいまでは静まり返っています。 料理に使えない親ゆの死骸はゴミ袋へ、皮と餡子そして中枢餡を分けた元赤ゆ達はそれぞれ別の容器へ。 「下ごしらえは済んだかな?それじゃ、そろそろ店を開ける準備をしようか」 「はい、山越オーナー」 料理学校のゆっくり科で優秀な成績だった私は、学校からの紹介でこの料理店で修行中です。 この店のオーナーはなんとあの時のお兄さん、私に「ゆっくり包丁」を教えてくれたお兄さん。 ここはレストランヤマゴエ、都内で有名なゆっくり専門の料理店です。 おしまい
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4120.html
豊作祈願を書いた人です。 変なのを書いてしまった気がします。 どうしましょう。 ゆっくり玉 「あー、だんだん暑くなってきたなあ・・・。」 桜ももう散っても良い陽気になって来ている。 俺は公園のベンチに座ってぼーっとパックのコーヒー牛乳を飲みながら鳩にポップコーンをやる。 最近、ここの公園も鳩が増えてきた気がするが気にしない。 この公園は自然公園だから元々多いんだと思いながらポップコーンのカップに手を入れる。 「・・・っとポップコーンが切れたか」 それじゃ次弾追加ということで袋の別のカップに手を伸ばそうとしたときに足元から変な声が聞こえた。 「ゆーぽっぽー。」 足元を見てみるとソフトボール大の子れいむが鳩の群れの中に居た。 どうやら、鳩の餌のポップコーンを狙ってきたのだろう。 この汚れっぷりからみて野良だろうなぁと思いながらじーっと観察した。 「くーぽっぽー。くーぽっ「ゆーぽっぽー。」っぽー。」 鳩の真似をして子れいむがポップコーンに近づこうするが鳩の群れの中でもみくちゃにされてポップコーンに近づけない。 それどころか鳩に邪魔者だと追われて突付かれる始末だ。 「ゆぇーん、はとしゃんぢょいてね!れいみゅにもちゃべしゃせてね!ぢょいてね!」 そう言いながらポップコーンが撒かれている中心部に行こうとするが鳩の群れから弾き出される。 入ろうとするが弾き出される、この繰り返しをしているうちに足元にあったポップコーンは全部なくなってしまった。 鳩はもっと餌が無いのかとしばらく足元をウロウロしていたが餌の追加が無いので方々に散っていった。 残されたのは俺と「ゆぇーん、ゆぇーん」と大きな声で泣く子れいむのみ。 あぁ、泣くなよ。 そう思いながら子れいむに話しかけようとすると、池のほうからぽふんぽふんとバレーボール大のれいむが慌てて来た。 「おちびちゃん!どうしたのっ!なにがあったの?!」 どうやら母親らしい。 涙を拭うように舌で子れいむを舐めている。 子れいむは親れいむに叫んだ。 「おかーしゃ~ん!ちゃべれにゃかったー!」 親れいむはその声にびくっとする。 子れいむが人間の前で大きな声でそんなことを叫んだからだ。 どうやらこの親れいむは頭が良いらしい。 人間の前でそんなことを大きな声で叫んだら気分を悪くしてどんな目にあうか分からないと思ったからだろう。 「おにーさん、ごめんなさい。れいむたちはもういくね!」 そう言って慌てて行こうとするれいむたちを呼び止める。 「ああ、そんなに慌てて行かなくてもいいぞ。実はもう一つあるんだ。」 と言ってさっき取り出そうとしたカップを開けてポップコーンを子れいむにくれてやる。 「丁度今暇なんだよ。話をして行かないか。」 子れいむの「む~しゃ、む~しゃ、おいしぃー!」という声を聞きながら俺は親れいむにもポップコーンをやる。 前々からこの辺に住んでいるのかと尋ねると、この親子は近くの川原に住んでいたらしい。 だが番のまりさがカラスに襲われ永遠にゆっくりしてしまったこと、川原にれいぱーありすが多く居てゆっくり出来ないことを理由に こっちの公園に越して来たというのだ。 餌は川原に比べて少ないが、ありすが全然居ないのでゆっくり出来るとれいむは嬉しそうに言う。 まぁ確かにこっちはありすは少ないだろうなぁ・・・と思った。 公園だから当然人間の家族連れが多い。 普通にゆっくりが跳ねている分には家族連れもそれほど気にしない。 しかしれいぱーありすは別だ。あんなもの見たら純真無垢な子供心にトラウマが付きかねない。 だから即刻潰されることも多いのでれいぱーはこっちに住めないのだ。 ポップコーンをやりながらそんなことを話しているうちにカップの中が空になった。 「ああ、もう品切れだ。美味かったか?」 そう言ってカップを逆さにして見せる。 れいむ達も満足したようだ。 「ゆゅ~。おいしゅかったよ~。」 「おに~さん、ありがと~。」 そう言って周りを跳ねる。 跳ねている。 跳ねているなあ・・・。 ゆっくりってどうやって跳ねてんだ? ふと疑問に思いれいむ達に聞いてみる。 「なぁ、お前達どうやって跳ねているんだ?」 「ゆ?れいみゅたちはあんよをつかってはねちぇるよ?」 そう言って親子そろって目の前でぴょんぴょん跳ねている。 ゆっくりに足?そんなものあるのか? そう思いながら親れいむに聞いてみる。 「あんよ?ゆっくりにそんなの有るのか?見せてもらっても良いか?」 そう言って親れいむを持ち上げる。 持ち上げて親れいむの底面を覗き込むと底面の4箇所もぞもぞと動いている。 「れいむのうごいているところがあんよだよ!」 「ははー、面白いなあ。ちょっと触っても良いか?」 そう言いながらベンチに腰掛け、親れいむを逆さにしてひざの上に置く。 「ゆゆっ?!おにーさん逆さにしないでね!れいむうごけないよ!」 そういって親れいむはあんよをじたばた動かす。 触ってみるともぞもぞと皮が動いていて気色悪い。 つか、コイツあんよをあれだけじたばたさせているのに体はまったく動かない。 「れいむ、もしかして引っ繰り返ると起き上がれないのか?」 「れいむたちはひっくりかえるとほかのゆっくりにおこしてもらわないとおきあがれないんだよ。 だからゆっくりしないでおこしてね」 そういいながら親れいむは足をじたばたさせている。 へーおもしろいなぁと思いながら底を見ているとあごの辺りに穴があるのに気付いた。 ええと、この穴はたぶん・・・これとあれとそれだな。 。。 ええと・・・その・・・だめだ・・・、好奇心を抑えきれない。 「おにいさん・・・・はやくおこしてぇぇぇ・・・・!」 「おこしてあげてぇぇぇ!おかーしゃんがかわいしょうだよぉぉぉ!」 子れいむが足元でぴょんぴょんはねて抗議する。 お兄さんの耳には2匹の声が届いているのだが好奇心に押されてひっくり返す気にならない。 そしてコーヒーパックに手を伸ばすとおもむろに親れいむのあにゃるにコーヒーパックのストローを突き刺した! 「ゆぴゅあああああ!」 親れいむはあにゃるにストローを挿され変な声を上げる。 「お゛、お゛にいしゃん、にゃ・・・、にゃにずるのぉぉぉ?!ぎもぢわるいぃぃぃ!は、はやくぬ゛い゛でぇぇぇ!」 親れいむがイヤイヤといわんばかりにくねらそうとするがまったく動けない。 子れいむの方はそんな親の姿を見てガクガク震えながらちーちーを漏らしている。 お兄さんは構わずストローに口をつけて息を吹き込む。 「ゆぴゃぴゃぴゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 親れいむの悲鳴と共に体がどんどん膨らんでいく。 お兄さんはそのまま一気に息を吹き込み、親れいむの大きさはついに2倍近くまで膨らんだ。 そばにいた子れいむはその信じられない姿を見て悲鳴を上げながら白目を剥いて気絶してしまった。 「ふう・・・・。こんなもんだろう。」 親れいむの方は苦痛に白目を剥いているが気絶はしていない。 あにゃるからストローを抜き、ポップコーンの蓋に貼りついていたテープをあにゃるに貼り付けて空気が漏れないように固定した。 お兄さんは霊夢の大きさを見て満足する。 昔流行った蛙を膨らます遊びを思い出してついやってしまったのだ。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・ぐるじいいいいぃぃいぃぃ・・・・!だずげでぇぇぇぇぇぇ・・・・!」 引っくり返った親れいむのあんよが小さくわずかにぴこぴこ動く。 膨らましてしまった分皮が張ってあんよを動かす余分な皮がなくなってほんの少しの動きしか出来ないのだ。 試しにと霊夢を元の向きにして地面に置いてみた。 が、霊夢のあんよがまったく足が着かない。 「あ゛あ゛あ゛あ・・・・あ゛んよ゛がどどがないいいぃぃぃぃ!だずげでぇぇぇ・・・・!」 お兄さんはそのまま親れいむのあんよがむなしく空を切るのを30分程眺め続けてしまった。 「「ぷくぅぅぅ!」」 お兄さんたちは自動販売機の前にいた。 開放された親子はお兄さんに怒っているんだと言わんばかりに膨れている。 お兄さんはお詫びにオレンジジュースを親子にご馳走することにしたのだ。 「本当にごめんなあ・・・・。つい気になっちゃったもんだからつい・・・」 「「おにいさん(おにいしゃん)とはゆっくりできないよ!もうにどとれいむにちかづかないでよ!」」 れいむ親子はジュースを飲み終えると公園の奥に跳ねていった。 (おまけ) 後日お兄さんはまた公園にやってきた。 また鳩のえさでもやりながらぼーっとしようと思ったのだ。 まあこの間のれいむに会えればいいなあという気持ちも少しあったりする。 お兄さんが公園に入ると白い丸いものがたくさん転がっているのに気づいた。 何だろうと近づいてみるとそれは膨らまされたゆっくりだった。 しかもご丁寧に口をガムテープで塞いで喋れない様にしてある。 びっくりしたお兄さんは近くをジョギングしていたおじさん捕まえてどうしたのかと尋ねた。 おじさんはどうやら中学生くらいの子がゆっくりを膨らまして遊んでいたようだと教えてくれた。 お兄さんは気づいた。 お兄さんがれいむにやっていたことを見て、面白そうだからと中学生が真似したのだろうということに。 呆然としたお兄さんの前を午後の強風に煽られながら膨らまされたゆっくりたちが転がっていった。 (おわり) このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3696.html
注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2755.html
冬も間近の寒い都会の夜、身を縮こまらせて家路を急ぐ人々の行きかう大通りの裏の薄汚れた小路。 そこにわりと最近子どもを作ったことが原因で捨てられてしまったゆっくりれいむの一家の姿があった。 運よくスーパーの裏で見つけた大きなダンボールを石で固定して、その中で身を寄せ合っている。 「おきゃーしゃん、しゃむいよ~。しゅ~りしゅ~りちてね!」 「まりしゃもしゅ~りしゅ~りちたいよ!」 「ゆゆっ!ゆっくりすりすりしてあげるね!」 「「「れーみゅもしゅ~りしゅ~りちてね!」」」 「「まりしゃも!まりしゃもしゅ~りしゅ~りちたい!」」 生まれて間もない赤ちゃんが7匹。4匹がれいむ種で、3匹がまりさ種だった。 言うまでも無く彼女らのもう一方の母親はゆっくりまりさであるが、彼女の姿はここには無い。 理由は当時飼いゆっくりだったれいむをすっきりさせたせいでれいむの飼い主を買い、潰されたから。 合意の上でのすっきりだったし、飼い主は赤ちゃんを見ればきっとゆっくりしてくれるだろう、れいむはそう考えていた。 更に子ども達の親であるまりさも飼ってくれるだろうから、ずっとまりさと一緒にいられる。 れいむはゆっくり特有の楽観的な思考で明るい未来を夢想していた。 が、飼い主はまりさを紹介するやいなや彼女を踏み潰し、れいむを乱暴に車に乗せた。 何を言っても返事一つしてもらえず、叫び疲れて眠りにつき、目を覚ましたときには見知らぬ場所。 右を見ても左を見ても飼い主の姿は無く、最初は悪い夢だと思い込もうとした。 しかし、頭の上で揺れるまりさの忘れ形見がそれを許してくれなかった。 「「「「「「「しゅ~りしゅ~り♪」」」」」」」 「す~りす~り♪」 しばらくして捨てられたことを理解したときはとても悲しかった。 大好きなまりさにゆっくり出来ないことをした飼い主が憎たらしかった。 可愛いれいむをゆっくりさせてくれない飼い主が許せなかった。 とっても不幸な境遇にある自分が可哀想で可哀想で涙が止まらなかった。 「おきゃーしゃん!おうちゃうちゃってよ!」 「ゆゆっ!おうたさんがききたいの?」 「しょーだよ!こーえんであしょんだまりしゃがとってもゆっくちできりゅっていってたよ!」 「「「れーみゅゆっくちちたいよー」」 「「まりしゃもおうちゃききちゃいよ!」」 けれど、とってもゆっくりした自分とまりさそっくりの可愛い赤ちゃんがいたから何とか頑張ろうと思えた。 この子達のおかげで地獄のような終わりの無い、長い長い辛い日々を生き抜くことが出来た。 実際には捨てられて1週間ほどしか経っていないのだが、元飼いゆっくりでこらえ性の無い彼女にしては頑張っていた。 だから、可愛いれいむの赤ちゃんに自慢の素敵なお歌を聞かせてあげてゆっくりさせてあげようと思った。 通りを行く人間さん達はお馬鹿で、れいむ達にご飯をくれないせいでお腹が空いていた。 ゴミ袋を漁ったりして何とか食いつないでいるけれど、赤ちゃん達にはまだ本当に美味しいご飯を上げたことがない。 意地悪な人間さん達のせいでゆっくり出来ない可哀想な可愛いれいむの赤ちゃんをゆっくりさせてあげたい。 その一心でれいむはかつて飼い主の下で覚えた歌を口ずさんだ。 「ゆっくりはあるいてこない~ だ~から、あきらめねるんだね~♪」 「いちにちいっこ!みっかでさんこ! けっきょくみ~んなつぶされる~♪」 「おきゃーしゃん!しょのおうちゃはゆっくちできにゃいよ~!」 「ゆゆっ!ごめんね、あかちゃん!それじゃあ、ほかのおうたをうたうね!」 「あかいりぼん~つ~け~た~かわいいれいむ~♪」 「おにいさんにつ~ぶされてい~ちゃ~った~♪」 「ゆぎぃ!?しょれもゆっくちできにゃいよ~!」 「もっちょゆっくちちたおうちゃをうたっちぇね!」 「ゆぐっ!・・・それじゃあ、これはどう!」 「れいぷされ~て~ いかされて~ うまさ~れて~♪」 「きょうもなぐられけられふまれたべられ~ つぶされる~♪」 「ゆえーん!どほぢでゆっぐちできにゃいのおおおおお!?」 「おきゃーしゃんのばきゃあああああ!?」 「ゆ・・・!?ゆぅ・・・じゃあ、とっておきだよ!」 「あ~る~はれた~ひ~る~さがり~ かこうじょ~に~つづ~くみち~♪」 「すぃーが~ごと~ごと~ こまりさ~のせてゆく~♪」 「かわいい~こまりさ~ うられてゆ~く~よ~」 「ゆっくりでき~ず~に~ な~いてい~る~よ~♪」 「ゆくゆくゆ~く~ゆ~く~ こまりさの~せ~て~♪」 「ゆくゆくゆ~く~ゆ~く~ すぃーはゆ~れ~るぅ~♪」 「ゆっへん!おちびちゃんたち、ゆっくりできたでしょ!」 「「「「「「「・・・・・・・・・もう、ゆっきゅりはいいよ・・・」」」」」」」 こうして、この街に7匹のさとれいむが誕生したそうな。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/649.html
3人の少年が、水の無くなった乾いた田んぼで遊んでいた。 年齢は3人とも8歳、まだあどけなさが残る顔立ちをしている。 彼らは里の寺子屋での学習を終え、家に帰る途中であった。 「何かして遊ぼう」 「何する?」 寺子屋での勉強の後は、気の合う友達同士で道草をして遊びながら帰るのが日課だった。 さきほどから田んぼの真ん中で鬼ごっこをしていたが、それも飽きた頃だ。 「何か面白いことないかな?」 少年の1人が辺りを見渡す。 トンボでもいれば引きちぎって遊ぶというのに、あいにく何も空に飛んではいなかった。 では爆竹を詰め込むカエルはいないかな、少年が地面に目を移すと、田んぼの先にある森の入り口で動くものを発見した。 ゆっくりだ。 少年はすぐにその正体を見破った。 「タケちゃん!シンちゃん!あそこあそこ!ゆっくりがいる!」 タケちゃんと呼ばれた少年と、シンちゃんと呼ばれた少年は、指差す先を見た。 「おお!コウちゃんよく見つけたね!あれで遊ぼう!」 3人は遊ぶ対象を確認すると、暗黙の了解なのか、合図もせずにしのび足で森へと近づいていく。 森に近づいていくと、だんだんとゆっくりの姿が鮮明になっていく。 2匹のゆっくりがいる。 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙、つがいのスタンダードな組み合わせだ。 3人は目でその事実を互いに確認すると、フォーメーションを展開した。 1人は大きく迂回しゆっくりの背後に回り、1人は正面からいつでも飛び込めるよう身を隠し、1人は逃げ道となりそうな場所をおさえた。 背後から近寄っていた、先ほどタケちゃんと呼ばれていた少年は、2匹の後頭部のすぐ手前までやってきた。 (こんな近くにいるのに気が付かないなんてバカなやつらだなあ・・・) 思わず笑ってしまいそうになるのをぐっとこらえた。 ふと後頭部を見ると、ゆっくり霊夢の頭から茎が生えていた。 子供持ちのゆっくりは、まず逃げられない。 茎が折れて子供がダメになってしまうことを極端に恐れるためだ。 (コウちゃん、こいつらは余裕だよ・・!) タケは正面待機のコウに向かって手招きをした。 これは「いける」という合図だ。 それを見たコウは、ゆっくりと正面から2匹に近づいた。 「2匹とも、ゆっくりしてる?」 ゆっくり2匹の注意が正面のコウに向く。 その一瞬を見逃さず、タケは勢いよく前方に飛び込み、ゆっくり魔理沙を押さえつけた。 「ゆぐっ!?!?」 「ゆっ!?ま、まりさっ!?」 ゆっくり霊夢がパートナーの異変に気が付くが、既にゆっくり魔理沙はタケの腕にがっちりと抱え込まれていた。 「お前も捕まるんだよっ!」 コウがゆっくり霊夢を捕まえようと駆け寄るが、途中で速度を緩める。 「なんだ、子持ちか。タケちゃんがそっち捕まえとけば逃げないね」 子持ちゆっくりは、パートナーがいないとエサを確保できない。 そのため、パートナーを確保されると母体を努めるゆっくりは逃げられないのである。 それに逃げるといっても茎を折らないようにゆっくり逃げるのだ、その速度はたかが知れている。 「おーい、シンちゃーん!もう捕まえたよー!!」 2人が声を上げると、生い茂る草の中からシンが現れた。 「なーんだ、子持ちだったのか。逃げ道封鎖は必要なかったね」 抱え込まれながらも暴れるゆっくり魔理沙と、困惑するゆっくり霊夢を見て落胆の声をシンは上げた。 「必死で逃げるのをトッ捕まえるのが楽しいのに」 わきわきと指を動かすシン。 「まあまあ、今日はコイツでカンシャクしようよ」 「今日は負けねーぞ!コウ!」 「俺だって、今日は負けないかんね」 頭の上で交わされる会話を理解できないのか、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢は表情を曇らせた。 3人は2匹のゆっくりを森の入り口から連れ出し、農道の土の上に降ろした。 「ゆっ!離してくれてありがとう!!まりさたちはゆっくりかえるね!」 「れいむも帰るよ!ゆっくりさようなら!!」 2匹がそそくさと帰ろうとするので、タケはイタズラに使う道具袋から縄を取り出した。 その行動を見ていたシンがまりさを摘み上げる。 「ゆっ?まりさ達はおウチに帰るんだからゆっくり離してね!」 そんな訴えも無視し、シンはまりさを逆さまにしてタケに突き出す。 タケはまりさの低部をつまみ、思い切り引っ張った。 まりさの表情を壊しながら皮が伸びる。 「ゆっぎゅううう!!!いだいよおおおおお!!!」 気にすることなく、タケは伸びている底部を包むように縄を何重にも巻き、蝶結びをする。 まりさの底部だった部分は、全て縄に巻き込まれた。 これは少年達が近所のお兄さんに教えてもらった、ゆっくりの体を傷つけずに動きを封じる方法だ。 通常、ゆっくりの動きを封じるには箱に入れたり、底部をアルコールランプで炙るなどの方法が取られる。 しかし、箱はかさばって持ち運びに不便であり、火で炙る方法は確実であるが治すとなると時間がかかる。 その点、底部縄縛り法は縄一本でできる上に後遺症も少ない。 シンが縄縛りの完成を確認すると、まりさを乱雑に投げ落とした。 「ゆぎゅっ!!」 まりさが顔から地面に落ち、妙な声を上げる。 「ゆっ!まりさをイジめないでね!!!おにいさん達はゆっくりできない人だよ!!」 れいむが少し離れた位置から抗議する。 離れてはいるものの、逃げる気配はない。 パートナーを置いて逃げることはないのだ。 「ゆっぐぅ!!もうおウチ帰る!!!」 そのパートナーが体を起こし、跳ねようとした。 「ゆっ!?」 ころん、と転がるまりさ。 底部が縛られているため、飛び跳ねることはおろかバランスを保つことすら難しいのだ。 起き上がり、跳ねようとして倒れる。 そんなことを繰り返す姿は、まるで達磨のように見えた。 「どうぢで飛べない゙の゙お゙ぉぉぉぉお゙お゙お゙!!!?!?」 縄は伸びた底部が戻ったときに巻き込まれ皮に食い込んでいるので、多少の動きではズレることすらない。 「うるさい!」 タケが地面の砂を握ると、まりさの口にねじ込み無理矢理咀嚼させた。 「ふん゙も゙っふぉお゙お゙おおおお!!!!」 吐き出そうとするのを押さえつけ、砂を次々に口内へと流し込む。 これで少しは静かになるだろう。 まりさの動きを封じたことを確認すると、コウがれいむを捕獲し、まりさの隣に置いた。 「まりさを離してあげてね!!いまなら許してあげるよ!!!」 空気を含み、自身の体を大きくして威嚇するれいむ。 しかし、れいむの言うことなど気にもとめない3人は茎に実った赤ちゃんゆっくりを数え始めた。 いつ生れ落ちてもおかしくないプチトマトサイズが11匹。 れいむ種が5匹、まりさ種が6匹だ。 「よし、カンシャク勝負だな!」 シンが茎に実った赤れいむを指でこすり始める。 目を閉じたまま、赤れいむはきゃっきゃと笑い始めた。 「ゆ!れいむの赤ちゃんは可愛いでしょう!ゆっくり触らせてあげるからまりさを放してね!!」 指をさらにこする。 すると、赤れいむが地面に落ちた。 「ゆっ!?れいむの赤ちゃんが生まれたよ!!まりさ!!見て!すごくゆっくりした赤ちゃんだよ!!」 「ゆゅううう!!!足が痛いけど、すごく嬉しいよ!!!」 シンは、次の赤れいむを指でこする。 それもまたすぐに地面に落ち、シンはさらにもう1匹の赤れいむを落とした。 「ほい、人数分」 生れ落ちた赤れいむは3匹。ちょうど1人1匹に割り当てられる。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 2匹の親ゆっくりは、生れ落ちた赤れいむ達に必死に声を掛けている。 生れ落ちたものの、3匹はまだ第一声をあげていない。 その3匹を、3人の少年は1匹ずつ手に取った。 「ゆ?いま赤ちゃんが起きるところだよ!ゆっくりやめてね!!はやく返してね!!!」 手のひらの上には、目を開きつつある新しい命があった。 それを軽く握り、少年達は固い地面の上に移動する。 「じゃあいくぞ!カンシャク勝負!」 タカが声を上げ、3人は勢いよく腕を振り下ろした。 手から放たれたのは、まだ第一声もあげていない赤れいむ。 高速で投げ出された赤れいむは、踏み固められた土に叩きつけられ「パチっ!」と小気味の良い音を立てて破裂した。 放射状に飛び散った餡子が、甘い香りを漂わせる。 カンシャク玉とメンコからヒントを得て少年達が作った遊びだ。 「ゆっ・・・・!!?どうしたの!!?何の音!?」 位置関係で少年たちの行動が見えなかった親まりさが心配そうな声を上げている。 逆に、全てを見せ付けられた親れいむは一瞬、声も出ずに口をぱくぱくさせていたが、すぐに大声を上げた。 「ゆ゙あ゙あ゙あぁぁ゙ぁあ゙っ!!!!れ゙い゙む゙のあがぢゃんがあああああああ!!!!!!」 涙をこぼし、大声で泣く親れいむをよそに、少年達は筆箱から竹のモノサシを取り出し、飛び散った餡子の大きさを測っていた。 「よっしゃ!!俺は直径15cmだぞ!そっちはどうだ!?」 「ああっ!負けたあー!!俺は12cm!ちょっと勢いが足りなかった」 「今日は俺の勝ちだな!!20㎝はあるぞ!!」 シンが勝ち誇り、放射状に飛び散った餡子を指差す。 「でけー!!」 「しかもすげー円に近いな!いい形してる!」 我が子の飛び散った跡を見て喜ぶ少年達に、親れいむは憤りを隠せない。 「おにいさんはゆっくりできない人だよ!!ゆっくり死ね!!!!」 この状況で敵を煽るあたり、危機感の欠片もない生き物だ。 「なあなあ、この茎に付いてるゆっくりって目が開いてないじゃん?これ無理矢理開いたらどうなるのかな」 「おもしれー!ちょっとまぶたを切り落としてみよう」 コウが鉛筆削りに使うナイフを取り出し、茎に実る赤ゆっくりに接近する。 親れいむが逃げようとするが、タケに後頭部を踏まれて動けなくなった。 「ピッチリと閉じてるなあ。小さいし、失敗するかも」 「失敗したら違うのでやればいいよ。いっぱいいるし、ちょっとくらい失敗しても大丈夫」 「聞いたか饅頭。動いたらその分、子供がグチャボロになるからな」 「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉぉお!?!?!?」 「れいぶのあがぢゃんをいぢめないでえええええ!!!やめでええええ!!!」 2匹の叫びもなんのその、少年たちの好奇心は止まらない。 コウの握るナイフの先端が、赤れいむの瞼に近づく。 「切るよ!」 ナイフが瞼に触れた瞬間、赤れいむは痛みを感じたのか大きく揺れ動く。 「ああっ!!」 反動で戻ってきた赤れいむに、深々とナイフが突き刺さった。 「ぴっきぃぃぃぃぃっ!?!?!?」 甲高く、鼓膜を突き破るような赤れいむの鳴き声が辺りに響く。 あわててコウがナイフを抜くが、小さな赤れいむはそのまま動かなくなった。 「れいむ゙のあがぢゃんがあ゙あああああ゙ああ゙ぁぁっ!!!!」 「ばりざのあがぢゃんがああああっ!!!!」 茎でゆっくりと誕生を待っていた赤れいむは、そのまま永遠にゆっくりしてしまった。 額に大きな穴が開いた赤ゆっくりを、コウは思い切り握り潰す。 茎に餡子にまみれた紅白のリボンだけが残った。 「失敗、失敗。ちゃんと手で押さえないと動いちゃうな」 「次はちゃんと切れよ~」 「コウちゃん、ヘッタクソだなあ~」 頭部の茎を見上げ、ぼろぼろと涙をこぼす親れいむ。 なんとか少年達に攻撃をしようと必死に体を起こそうとする親まりさ。 そんなことなどお構い無しに、コウの左手が赤れいむを掴んだ。 茎に実ったれいむ種はこれが最後の1匹になる。 「ゆっ!!れいむと同じ姿の赤ちゃんはもうその子だけだから、ゆっくりやめてね!!」 「お願いだからやめてね!赤ちゃんとゆっくりさせて!!!」 掴まれたことに違和感を覚えたのか、赤れいむが目を閉じたまま表情に疑問符をつけた。 コウは左指に赤れいむの動こうとする力を感じたため、掴む力を強くして動かないようにする。 「上の部分を切り落とせばいいんだよねー」 右手に持ったナイフが、赤れいむの左目の瞼の上部を滑る。 抵抗の感じない切れ味、しかしそれは確実に皮を切断していた。 「ん?切れたと思ったんだけど・・・?」 赤れいむの瞼に変化はない。 コウがナイフの先端を瞳の膨らみを感じる部分に引っ掛け、下に滑らす。 「おっ!取れた!」 水分で密着していたようだ。 小さな瞼がコウの手に移る。 「ほらこれこれ、上手いこと切れたろ!」 1辺が3mmほどの瞼がそこにあった。 「すげー!」 「上手いこと取れるもんだなあ」 しかし、むき出しになった赤れいむの左目に生気は感じられない。 まるで目を開けて眠っているようだ。 コウは同じ要領で、右目の瞼を切り落とした。 「んー?全然動かないな」 「やっぱ茎から取れないと喋らないのかな?」 「ついでに茎から取っちゃえば?」 親れいむは、悪魔が頭上にいるような錯覚を起こした。 泣いても、叫んでも、懇願しても、この3体の悪魔は耳も貸してくれない。 待ち望んだ子供達、一緒にゆっくりするはずだった赤ちゃんは、すでに4匹も殺されてしまった。 泣いてもどうにもならない。 しかし親れいむは溢れる涙をこらえることができなかった。 「指擦りして茎から外すか」 シンの人差し指が瞼の無い赤れいむに触れようとした瞬間、それは起こった。 「・・・っくち!・・ゆっくちちていってねっ!!!」 さっきまで生気のなかった赤れいむの目に輝きが生まれ、声を上げたのだ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 それと同時に2匹の親ゆっくりは茎の上の赤れいむに最初の声を掛ける。 待ち望んだ第一声をようやく聞くことができたのだ。 親まりさは憤怒の表情から一転し、笑顔になった。 「おおっ!!生れ落ちる前に喋ったよ!」 「すげー!!」 「いつものお兄さんに後で教えたら喜ぶかなー」 茎に実りながら喋る赤れいむに感動を覚える少年達。 「じゃあ、もうコイツは落とすからね」 シンは人差し指を赤れいむに押し当て、こすり始めた。 頬から始まり後頭部、そして頭頂部を刺激する。 「ゆっ♪ ゆっ♪ くちゅぐったいよっ♪ ゆっくちぃ~♪」 赤れいむが嬉しそうにはしゃぎ、それを見た親ゆっくりも今までのことを忘れたかのように優しい顔になる。 「ゆーん!すごくゆっくりした赤ちゃんだね!」 「お母さん達と一緒にいつまでもゆっくりしようね!!」 「ゆ!ゆっくち!おかあさんとゆっくち!」 シンが赤れいむをこする速度をあげる。 次の瞬間、成体ゆっくりの「すっきりー!!!」にも似た表情を見せて赤れいむは地面に落ちた。 「ゆっ!もう少ちゆっくちしたかったのに!」 不満気に少年達を見上げる赤れいむではあったが、親れいむの頬擦りを受けるとすぐにご機嫌になった。 「ゆふ~ん!すりすりだよ!お母さんとずっとゆっくりしようねっ!!」 れいむ種唯一の生き残りということもあるだろう、親れいむは心の底から誕生を祝っているようだ。 「まっ、まりさも赤ちゃんとすりすりしたいよっ!!!かわいい赤ちゃん、すりすりしようね!!」 達磨状態の親まりさが赤れいむを呼んでいる。 それに答えるように赤れいむは跳ね寄り、頬擦りを始めた。 親れいむは少し残念そうな顔をしたが、最愛のパートナーと赤れいむの頬擦りを見るとすぐに笑顔を戻す。 「ゆっ・・!?」 しかし幸せな時間は長く続かない。 何かに異変を感じたのか、赤れいむが震えだした。 「ゆっ!?どうしたの!?ゆっくりしてね!!」 「ゆっくりしようね!震えてたらゆっくりできないよ!!」 少年達はすぐに赤れいむが苦しむ原因が分かったが、親ゆっくりは気が付いていなかった。 「ゆ!おめめがいちゃいの!!ゆっくちできないよっ!」 赤れいむの目には瞼がない。 瞬きもできない赤れいむの目は、ゆっくりと乾燥しつつあった。 「いちゃいっ!!おめめがいちゃいよっ!!おかあさんゆっくちさせて!!!」 乾燥から守るため、赤れいむの目には涙が溢れた。 「ゆっ!ゆっくり目を閉じてね!!そうすればゆっくりできるよ!!!」 餡子脳からは切り落とした瞼のことなど一時の幸福で吹き飛んでしまったようだ。 「ゆうっ!とじてるのにっ!!!とじてるのにおかあさんがみえるよぉっ!!!」 なんとか瞼を閉じようとする赤れいむだが、無いもので蓋はできない。 眉間にシワを寄せて必死になる顔が、先ほどまで笑顔であったとは信じがたい。 「おい、目が痛いなら舐めてあげろよ。親なんだろ」 「そうだぞ。痛い所は舐めてあげな。痛みが引くぞ」 「ゆっ・・・!」 憎たらしい人間の言うことをそのまま受け入れるのは癪であったが、ケガをしたときに傷口を舐めるのはゆっくり達の間では常識だ。 親まりさは舌で赤れいむの目を舐めた。 「ゆっきゅぁあああっ!!!いちゃいよっ!!いちゃいいいいぃぃぃ!!!」 「ゆっ!我慢してね!!すぐ痛くなくなるからね!」 親まりさは懸命に赤れいむの目を舌で舐める。 最愛の我が子の痛みを和らげてあげたい、そんな思いから舌に力が入る。 「ゆぎぎぎいいい!!!!めが!めがあああああ!!!!」 一向によくならないことに親まりさは疑問を感じ、舌を止めた。 それに自分と赤れいむを見て笑っている少年達が不思議だったのだ。 親まりさは赤れいむの目を見た。 「ゆっ!?」 赤れいむの目はところどころ餡子が漏れ始め、傷だらけになっていた。 「どうじでえええ!?!?!?ぢゃんど舐めだどに゙ぃぃぃいいいいい!!!?!!?」 分からなかった。 どんなケガをしても大抵舐めれば応急処置になった。 舐めて傷口が悪化することなど、自分の生きてきた中で一度もなかった。 親まりさの頭が混乱する。 「ゆっ!?なにもみえないよ!!まっくらだよ!おかあさん!ゆっくちできないよお!!」 目の前で泣き叫ぶ赤れいむの目は、光を失っていた。 「どうじでえええ!?!どうじでれいぶのあがぢゃんがあああ!?!??」 赤れいむが失明したことだけは理解できたのだろう、親れいむが泣き叫んだ。 それを見て笑っていたシンが親れいむに話しかけた。 「おい、れいむ。あのまりさにちょっと舐めてもらってみたらどうだ?あいつのベロが悪いのかもよ?」 何がなんだか分からないまま、親れいむは親まりさの所に運ばれた。 「まりさ、ちょっとれいむを舐めてね!」 「ゆ!?まりさは普通に舐めただけだよ!」 ぺろん、と優しく親まりさは親れいむの頬を舐めた。 「ゆぎゅっ!痛いよ!まりさのベロが痛いよ!」 「ゆ!?そんなことないよっ!」 親まりさが否定するが、舐め終わった親れいむの頬には擦り傷ができていた。 「まりざ!ちょっとベロを見せてね!!」 垂れた親まりさの舌を凝視する親れいむ。 そして、なぜ親まりさの舌が痛かったのか、その原因を突き止めた。 「まりさのベロに砂がいっぱい付いてるよ!!こんなベロで舐められたら痛くてゆっくりできないよ!!」 そう、さきほど底部を縛られた後に無理矢理食べさせられた砂。 あれが舌に残っており、それがヤスリのような役目をしてしまったのだ。 繊細な目をヤスリ舌で舐めまわして失明するのは、当然の結果だった。 「ばり゙ざがぞんな汚いベロで舐めるがらあ゙かぢゃんの目が見えなぐなっだんだよ゙ぉぉ゙!!!!」 攻める親れいむの言葉から、状況を察したのだろう、赤れいむも声を荒げる。 「おがあざんのせいでれいむはなにもみえないよっ!!!ゆっくちできない!!おかあさんはゆっくちちね!!」 2匹の容赦ない罵倒に、親まりさはごめんごめんとつぶやくだけで反論することはなかった。 「よし、じゃあ残りのを全部落とすか」 抵抗しない親まりさに飽きたのか、タケが親れいむの茎に実った赤まりさに指擦りを始めた。 親まりさを攻めることに忙しい親れいむは気が付かない。 親の醜い争いを真下にしながら、赤まりさは擦られることにニコニコと笑みをこぼす。 次々に赤まりさが茎から外れるが、地面に落ちる前に回収していたため親れいむは気が付かなかった。 「ほい、6匹誕生~」 茎に実った赤ゆっくりは、全て無くなった。 タケの掌には、目を開けようとしつつある赤まりさが6匹。 それを親ゆっくりに見えない位置に隠して2匹に話しかける。 「おい、お前らの巣はどこにあるんだ?」 タケのほうを振り向く2匹は、まるでオネショがバレそうになった幼児のような表情を見せた。 その隙に盲目となった赤れいむをコウが回収したのだが、2匹はそんなことに気が付く余裕もない。 「ゆゆっ!まままままっまままっままりさたちのおウチはなななななななな無いよっ!!?!?!?」 「れ、れいむ達はたまたまたまたまたまたまあそこでゆっくりしてただけだよっ!!!」 「あそこらへんに巣があるってよ」 頭に茎を生やしたゆっくりが、外に出ることなどあまりないことだ。 赤ちゃんに日光浴をさせることが稀にあるくらいで、ほとんどは外敵の危険の少ない巣で妊娠中は生活する。 その日光浴でさえ巣のすぐ近くで行い、遠出はしないものなのだ。 少年達がゆっくりを見つけた時、この2匹は野外でゆっくりしていた。 「せっかくだからどんな巣か見てみたいな」 あの付近に巣があることは、明白であった。 「じゃあ、僕がこの2匹を見張ってるから、ちょっと探してきてよ」 そう言ったのはシンだった。 夫婦喧嘩の果てに、愛想を着かして親れいむだけが逃げ出すことを心配しての判断だ。 「んじゃちょっと探してくる」 「シンちゃん頼んだよー」 コウとタケが、こっそり持ち出した1匹の盲目れいむと6匹の赤まりさをつれて、森の入り口へと歩いていった。 「そっぢには何もないよっ!!!バカなお兄さん達はごっぢにもどってぎでね!!!」 「バガだね!!!なにもないよっ!!!」 2匹が必死で気をそらそうとしているが、コウとタケは森の入り口へと向かってしまった。 「これだね」 2匹を見つけた場所。 そのすぐ近くに草でカモフラージュした巣穴があった。 「案外大きいね。僕でも入れたりして」 巣穴の直径はマンホールほど。 斜めに掘り進んでいるようで、中は暗くて見えなかった。 「ちょっと奥に入ってみるから」 8歳の少年、コウはその小柄さを生かし、頭から巣穴に突っ込んだ。 巣穴の奥に入った手を無造作に動かす。 「お、なんかある」 手の先に触れたのは、固いもの。 それを掴み引っ張り出そうとすると、何かが手にぶつかってきた。 柔らかい感触。 「あ、ちっちゃいゆっくりに体当たりされたかも」 「バカな奴らだな」 巣穴から出てきたのは壺だった。 どこからか盗んできたのだろう、コウの頭より一回り大きい壺だ。 中には虫の死骸や、草など、ゆっくりの保存食と思われるものが大量に入っていた。 壺を取り出す最中、ずっと体当たりをしていたゆっくりは見当たらない。 奥に隠れているのだろう。 「まだ子供がいたんだな。当たった感触だとこれくらいかな」 コウがタケに見えるように手で丸を作った。 大きさはソフトボールくらい、子ゆっくりサイズだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 コウが巣穴に向かって大声で叫ぶ。 『ゆっくりしていってね!!!』 巣穴からヤマビコのように声が返ってきた。 敵に声を返すとは、愚かな生き物だ。 「美味しいお菓子があるよ!ゆっくり出てきてね!!」 タケの誘い文句も慣れたものだ。 お菓子と、ゆっくり、この言葉があれば警戒心の強い親はともかく、子ゆっくりはホイホイと出てくる。 この巣穴にいた子ゆっくりも同じで、すぐに巣穴から顔を出した。 「ゆゆっ!?おいしいおかしをちょうだいね!!」 「はやくおかしをだしてね!!」 「ここはれいむたちのおうちだよ!!おきゃくさんはおかしをよういしてね!!!」 現れたのは予想通りソフトボールほどの大きさのゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙。 数はゆっくり霊夢が4匹、ゆっくり魔理沙が3匹だ。 最後に出てきたゆっくり魔理沙は、少年達を警戒しているようだ。 しかし所詮は餡子脳。 甘いものを出せばイチコロである。 「あっちでみんなのお母さんとお菓子を食べてるんだよ」 「だからゆっくりついてきてね。お菓子はいっぱいあるからゆっくりできるよ!!」 「ゆっ!おかあさんもゆっくりしてるんだね!!すぐにいくよ!!」 コウがバカ7匹を引きつれて親の元へと戻った。 一人残ったタケは、巣穴に壺の中身をぶちまけ、入り口に石をみっちりと詰め込んだ。 コウが7匹の子ゆっくりをつれて戻ると、2匹の親ゆっくりが絶望した顔でお出迎えしてくれた。 「ゆゆっ!!どうして出てきちゃったの!!?」 「外に出たらダメって言ったよね!?なんで約束を破るの!?」 親ゆっくりが子ゆっくりを叱るが、子ゆっくりは悪気も無い様子で反論した。 「ゆ!おかあさんたちだけでおかしをたべるなんてずるいよ!!」 「まりさもおかしたべてゆっくりするよ!!」 「ひとりじめはやめてね!!」 その言葉で、どうやって子ゆっくりを誘拐してきたのか理解したようだ。 コウは隠し持っていた盲目れいむのリボンを外し、7匹の子ゆっくりの前に置いた。 「ゆっ!れいむのあかちゃぶぴっ!!!???」 余計なことを言おうとする親れいむの口をコウが押さえつける。 それを見たシンは、親まりさの口を押さえつけた。 「ゆゆっ?おにいさん、おかあさんをいじめないでね!!」 「この親はみんなのお菓子を食べようとするから押さえつけてあげたんだよ!」 「そうだよ、みんなはそのお菓子をゆっくり食べてね!」 コウとシンは片手で盲目れいむを示した。 その言葉に顔を青くする親ゆっくり。 子ゆっくりが、自分の妹を食べてしまう。 なんとかそれを阻止しようと暴れるが、人間の力には叶わなかった。 しかも、暴れる姿は子ゆっくり達にとってはお菓子を食べようとしている強欲親に映るだけだった。 「ゆ!そんなにおかしをひとりじめしたいんだね!!」 「ひどいよ!!」 「おかあさんはなんでゆっくりさせてくれないの!?」 心無い言葉を親ゆっくりに浴びせかける子ゆっくり。 そして親の思いも露知らず、盲目れいむに噛み付き始めた。 「ゆっぎいぃぃぃ!!!!いちゃいよっ!!!みえないよ!!こわいよっ!!たべられてるよっ!!!」 ソフトボールサイズの子ゆっくりにとって、プチトマトサイズの盲目れいむなどたいした量ではない。 あっという間に体は減っていく。 「ゆぎぃ・・・もっどゆっくちしたかったよ・・・」 子まりさが最後の一口を食べ、盲目れいむは見事に食された。 残ったのはコウの手に握られたリボンと、少しの皮と髪の毛だけ。 コウは親れいむを開放した。 「ゆ!!どうじでみんな赤ちゃんを食べちゃうのおおお!!?!?!?みんなの妹なんだよおおおお!!!!??」 子ゆっくり達は、妹達の誕生を楽しみにしていたのだ。 日々大きくなる赤ゆっくりを見上げ、ゆっくりしようと声を掛け続けていた。 親れいむの頭に上り、より近くで赤ゆっくりに声を掛けたこともあった。 最近では、赤ゆっくりがその声にも反応するようになり、子ゆっくりはとても嬉しそうであった。 『もうすぐいっしょにゆっくりできるね』 『おねえちゃんがあかちゃんに いーっぱいゆっくりをおしえてげるね!』 昨晩はそんなことを言っていた。 その待ち望んだ赤ちゃんが、今は腹の中へと納まっている。 「ゆゆっ?なにをいってるの?いまのはただのおまんじゅうだよ!」 「そうだよ!くやしいからってうそをいわないでね!」 「あれはおまんじゅうだよ!ゆっくりりかいしてね!!」 ゲラゲラとゆっくりうどんげのような笑い声を上げる子ゆっくり達に、親れいむは悲しくなる。 「ゆ゙っゔううゔぅぅうゔ・・・」 しかし、これはこれでいいのかもしれない。 食べられてしまった赤れいむには申し訳ないが、いまさら生き返ることはないのだ。 わざわざ妹を食べたことを教える必要はないのではないか。 そんな餡内を見透かしたのか、コウがわずかに残った盲目れいむの残骸の上にリボンを落とした。 「ゆっく・・・!?」 「ゆっ・・・!」 パズルのピースが綺麗にはまったかのような感覚を、子ゆっくり達は感じた。 このリボンは、毎日自分達が見上げていたあのリボン。 このリボンは、毎日自分達が話しかけていた子のリボン。 このリボンは、毎日自分達が待ち望んでいた妹の・・・ あのお饅頭は、毎日自分達が・・・・ 「ゆきっぃぃぃ゙ぃぃ゙ぃっ!!!!!」 「ゆきゃああ゙あ゙ああ゙あっ!!!」 「れいぶのいぼーどがぁあ゙あぁぁぁぁっ!!!!」 全てを理解した子ゆっくり達が必死にお饅頭を吐き出そうとするが、出てくるのは少しの胃液(?)とヨダレだけだった。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/648.html
※なにも悪さをしていないゆっくりが虐待、虐殺されます。苦手な方はご注意下さい。 ある日、草原をゆっくりれいむの親子が歩いていました。 子は一匹だけでしたが、親れいむは既に新しい赤ちゃんを体に宿しています。 つがいのまりさはゆっくりれみりゃから家族を守るために先日命を落しました。 するとある一人の人間の青年がゆっくり親子に近づいてきました。 「やぁ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりいていってね!」 「ゆっくちちていってね!」 青年とゆっくり霊夢の親子がそう挨拶を交わすと、 「この柿の種とれいむの赤ちゃんを交換しないかい?」 青年はそう親れいむに提案してきました。 「ゆっ! あかちゃんをあげるわけないよ! おじさんばかなの?」 「そうだよ、おじちゃんばかなの?」 当然ゆっくりれいむの親子はをそれを断ります。 ちなみに青年はまだ二日目に二十になったばかりです。 「でもれいむ、柿の種を植えて柿の木を生やせば、ずっと柿が食べられるよ。それに見たところ霊夢は新しい赤ちゃんがもうすぐ生まれそうじゃないか」 「ゆっ、ずっとかきが……?」 青年のその言葉に揺らぎかけた親れいむでしたが、すぐにその誘惑を振り切って返します。 「だめだよ! このこはなにものにもかえられないたいせつなれいむのあかちゃんなの!」 「おかあしゃん……」 親れいむの屹然とした態度に赤ちゃんれいむは感動しました。 しかし、青年はそんなもの意にも介しませんでした。 「交渉決裂だね。じゃあ実力行使だ」 青年はそう宣言するとしゃがみこみ、赤ちゃんれいむを問答無用に掴み上げました。 「お゛がぁ゛じゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛」 「ゆゆっ! れいむのあかちゃんかえしてぇぇぇぇ!!」 泣き叫ぶ赤ちゃんれいむを取り戻そうと立ち上がる青年に体当たりをしかける親れいむでしたが、青年の蹴りをその顔面にモロに受け、餡子を撒き散らしながら十メートルほど吹っ飛びました。 「ぶでゅ!」 「ありゃりゃ、手加減したんだけどなぁ」 餡子を撒き散らして地面に横たわる親れいむ。完全に気を失っていました。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! お゛がぁ゛じゃ゛ん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「まぁいいや。はい、約束の柿の種」 泣き喚く赤ちゃんれいむを片手に、青年はポケットから柿の種を取り出すと気絶している親れいむの傍らに置き、親れいむのリボンに何かをつけるとその場を去っていきました。 赤ちゃんれいむはその後、お兄さんのおやつのお汁粉になりました。 その後日が暮れてから親れいむは目を覚ましました。 「ゆっ! れいむのあかちゃん!」 起き上がってすぐに辺りを見渡しますが大切な赤ちゃんの姿はどこにもありません。 代わりに親れいむの側には柿の種がありました。 「ゆ゛ゆ゛っ……でいぶのあ゛がぢゃん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛……」 ぐずぐずと涙と鼻水とを垂らして悲しむ親れいむ。大切な大切な子供が奪われていったのだから無理もありません。 「ごめ゛ん゛ね゛……あ゛がぢゃんのぶんも、あだらじいあ゛がぢゃん゛とゆっくりするねぇ……」 親れいむはそう誓うと失った赤ちゃんれいむを忘れないように、側にあった柿の種を持ち帰り、巣の前に埋めました。 「ゆゆゆ~♪ ゆっくりはやくそだってね~♪ はやくめをださなきゃちょんぎっちゃうよ~♪」 翌日より一匹残された親れいむは、毎日毎日埋めた柿の種に耳障りな歌を歌い続けました。 するとどうでしょう、なんと一週間も経たないうちに柿は芽を出し、木になり、実をつけたではありませんか。 「ゆゆっ! れいむのおうたのおかげで、かきさんがおおきくなったよ!」 もちろんれいむの雑音のおかげではありません。 これはれいむの埋めた柿の種が河童が開発した『試作急成長植物種子・ver柿』だったからです。最終目標は胡瓜。 何故青年がそんなものを持っていたかの説明は割愛します。 「これでかきさんがいっぱいたべられるよっ」 これから生まれる赤ちゃんのためにもと思い、親れいむはその場で跳びはねて喜びを表します。 しかし、ゆっくりでは遥か木の上にある柿の実がとれません。 それに気づいて親れいむは困りました。 するとそこへ親れいむの赤ちゃんを奪った青年が現れました。そろそろ柿の木が生える頃だと思いやって来たのです。 何故れいむの巣の場所を知ってるかというと、親れいむのリボンに発信機がとりつけられていたからです。 「やぁ、お困りのようだね?」 「ゆっ、おじさん。かきさんがとれなくてこまってるの」 何の警戒もなく自分の子供を奪った人間に助けを求める親れいむ。ゆっくりの餡子脳では、会った直後に頭に衝撃を受けたこともあり、一週間前にちょこっと出あった人間の顔など覚えていられないのです。 「じゃあお兄さんが木に登って柿さんをとってきてあげよう」 「ゆっ、ほんとう? ありがとうおじさん。ゆっくりしていってね!」 「…………ああ、ゆっくりしていくよ」 度重なるおじさん発言にも青年は動じず、軽い身のこなしで柿の木を登るとあっという間に実のなっている場所まで辿り着きました。 「ゆ~、おじさんすごぉい」 きゃっきゃっとウザく跳ね回る親れいむを眼下に収めつつ、青年は枝に腰掛け、美味しそうに実っている柿をとり食べてみました。 「おぉ、これは美味い!」 ややオーバーリアクション気味にその美味しさを表現し、本当に美味しそうに柿を食べていると、木の下の親れいむがよだれを垂らして青年を見上げていました。 「おじさんおじさん! れいむにも、れいむにもかきちょうだい!」 「うぅん、これは美味い。もう一個! れいむはもうちょっと待っててなぁ」 「ゆ~! さっさとれいむのためにかきさんとってね! はやくしないとおこるよ!」 青年が二個目の柿に舌鼓をうっていると、親れいむは更に鬱陶しく喚き始めました。 「おじさん、それはれいむのかきさんだよ!」 「だれもたべていいなんていってないよ!」 「わかったらさっさとかきさんをよこしてね、ぐず!」 「いわれたこともできないなんておじさんはほんとうにくz───」 「うるせぇ!」 「ぶべびゅ!?」 あまりに五月蝿すぎたので、親れいむを黙らせようと青年はまだ実りきっていない青く硬い柿の実を親れいむに向かって全力投擲してしまい、親れいむはその青く硬い柿の直撃を受け衝撃で体の上半分を撒き散らして死んでしまいました。 しかしなんということでしょう。その衝撃により、親れいむの体の下半分から赤ちゃんれいむが生まれてきたではありませんか。 「ゆっ!」 すぽんっ、と小気味よく元気に飛び出した赤ちゃんれいむ。 「ゆっくちちていてね!」 元気よく生後の第一声を背後にいるであろう親に放ちます。 しかし、 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! お゛がぁ゛じゃ゛ん゛な゛ん゛でじん゛でるの゛ぉ゛ぉ゛!?」 見るも無残な親の死体を目の当たりにし滂沱の涙を流す新赤ちゃん霊夢。 「やっべ、やりすぎたか。計画が狂っちまったぜ」 柿を適度に少量与え、柿も子供も長期的に親れいむから搾取する予定だった青年は慌てて木から飛び降り、その場を去っていきました。 赤ちゃんれいむはその青年の姿をばっちり目に焼き付けていました。 そして、子供心ながら理解しました。あれが大切なお母さんを殺した犯人だと。 赤ちゃんれいむは復讐を決意しました。 その日の夜、それまで親れいむが暮らしていた巣にはこの日生まれた赤ちゃんれいむの他に、ゆっくりまりさ、ゆっくりありす、ゆっくりぱちゅりーが揃っていました。 皆親れいむの生前の友人でした。 「ゆるせないよそのにんげん!」 「そうよっ! そんないなかものはこらしめてやらなきゃ!」 「むきゅ!」 新しい赤ちゃんがそろそろ生まれてくる頃だと、友人揃って親れいむの巣に餌を持ち寄ってお祝いを兼ねて遊びに来てみれば、巣にいるのは一匹泣いている赤ちゃんゆっくりのみ。 どうしたことかと赤ちゃんれいむから話を聞くと三匹のゆっくりは我が事のように憤慨したのです。 赤ちゃんれいむを含む四匹が思うところはただ一つ。 人間に復讐を。 「むきゅ、わたしにいいあいであがあるわ!」 ゆっくりぱちゅりーがそう提案してきたので皆ぱちゅりーの言葉に耳を傾けます。 誰も盗み聞きする者など周りにいないのにごにょごにょと耳打ちをするゆっくり。 「それはいいあいであなんだぜ!」 「とかいはでかんぺきなさくせんね!」 「ゆっ! しょれならおかあしゃんのかたきをとれりゅね!」 ゆっくりぱちゅりーの提案した作戦に賛同の意を示す三匹。 こうしてゆっくりぱちゅりーの提案した作戦通り復讐を開始するゆっくり達。 決行は、三日後。 作戦決行日。赤ちゃんれいむは里の出入り口の側の草陰に隠れてずっとそこを見張っていました。 あの憎き人間の青年が通りかかるのを待っているのです。 生まれたての赤ちゃんれいむの拙い餡子脳ですが、ちらりと見ただけの青年の顔はしっかりと覚えていました。 いや、むしろ覚えていることのほとんどがその顔だけと言っても過言ではないでしょう。生まれたての赤ちゃんれいむの記憶には、本来覚えるべきことは一切無く、ただ親の仇の顔だけがありました。 「ゆゆっ、きちゃ!」 待つ事数刻。遂に里へと帰ってきた青年の姿を見つけた赤ちゃんれいむは、全力で隠れていた草陰から飛び出し、青年の足元へと駆け出しました。 「おにいしゃん、ゆっくりちていってね!」 「ん?……おぉ、ゆっくりじゃないか。ゆっくりしていってね」 特に嫌な顔もせずにゆっくり流の挨拶を交わす青年。赤ちゃんれいむは相手の顔を覚えていたようだが、どうやら青年のほうは覚えてなかったようである。 もっとも、ゆっくりんピースでもなければ人間にゆっくりの顔を見分けることは不可能に近いのだが。 挨拶を交わしながら赤ちゃんれいむは気づきました。青年が抱えている荷物に。 それは柿。赤ちゃんれいむはそれが自分の巣の前に生えている自分の柿の木からとってきたものだと思い、更に恨みを募らせました。 だが赤ちゃんにも関わらずそのような感情をおくびにも出さず、友好的な声で会話を続けます。 「ゆっ、おいししょうなかきしゃんだね!」 「あぁ、これか。どうだい? 一緒に食べるかい?」 「ほんと? ありがとうおにいしゃん!」 ピョンピョンと跳びはねて喜んでいると見せかけるゆっくりれいむ。実際にはその偽りの表情の下には般若のような形相が浮かんでいることでしょう。 きめぇ。 「じゃあお兄さんの家で一緒に食べよう。ゆっくりできるよ」 「ゆっ、ゆっくりしちゃいよ! おにいしゃんのいえでゆっくりちゃべよぅ!」 ────計画通り。 赤ちゃんれいむは青年に気づかれないように笑みを浮かべました。 (ゆゆっ、きたぜ!) (とかいはのありすたちがこらしめてあげるんだから!) (わたしのさくせんはかんぺきよ!) 家へと帰ってくる青年の姿と、抱えられる赤ちゃんれいむの存在を感知したまりさ達は今こそ決戦の時と気合を入れます。 ゆっくりぱちゅりーの作戦の全容はこうでした。 まず青年が家を留守にしている間にまりさ、ありす、ぱちゅりーが家に侵入。 ぱちゅりーは暖炉に隠れ、ありすは水桶の中に隠れ、まりさは屋根に隠れる。 そして帰ってきた青年が体を暖めようと暖炉に近づいたところでぱちゅりーが体当たりをしかけ火傷を負わせ、急いで水桶の水で冷やそうとしたところをありすが攻撃し、慌てて外に飛び出したところを屋根の上からまりさがトドメを刺す、という、本人達曰く『かんぺきなさくせん』でした。 青年が家を留守にする時間も、青年の家がどこにあるのかも、決行までの三日間の間に危険を顧みず調査した結果分かっていました。 「ただいまぁ、っと。誰もいないけどな」 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりちゅるよ」 家の戸を開け、赤ちゃんれいむを抱えた青年が帰宅しました。 (ありす、ぱちゅりー、頼んだぜ!) 屋根の上から心のエールを送るまりさ。 しかし、本人達は気づいていなかった。 この作戦の致命的な欠陥に。 「ふ~、流石に寒くなってきたなぁ。暖まるか」 そう呟く声を聞いたまりさは(やっちまえぱちゅりー!)と心の裡で叫びます。 暖炉に近づいていく青年に、赤ちゃんれいむも内面でほくそえみます。 「ふ~、あったけ~」 柿と赤ちゃんれいむを脇に置き、暖炉で暖まる青年。 その様子に赤ちゃんれいみは(せいじぇいいまのうちにしあわせをかみしめちぇおくんだにぇ!)と罵倒しますが、いくら時間が経っても赤ちゃんれいむとまりさが思うような展開になりません。 「ゆっ?」 赤ちゃんれいむは不思議に思いました。 作戦通りならば既に暖炉に潜んでいたぱちゅりーが攻撃を仕掛けるはずだからだ。 しかしその疑問は、すぐに解消された。 「ん? なんだこれ」 青年がそう不思議そうな声を出すと、暖炉の方へとその手を伸ばし、ある物をつまみあげました。 「ゆぅ゛!? ぱちゅりー!?」 それはすっかり焼き饅頭と化したぱちゅりーでした。既に息絶えています。 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛! どぼぢでぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」 「お? なんだ? お前の知り合いなのか? じゃあ生き返らせてやらないとな」 青年はそう言うと焼き饅頭と化したぱちゅりーを右手に、赤ちゃんれいむを左手に持つと水桶の方へと向かいました。 「水をかけてやれば生き返るからなぁ」 そう赤ちゃんれいむに言い聞かせながら水桶の側に立ち、水桶の中を覗ける位置に赤ちゃんれいむを置く青年。 赤ちゃんれいむは予想外のぱちゅりーの死に動揺しながらも、(ばかだねおじしゃん!)と内心で勝利を確信してもいました。 当初の予定とは違うがありすのいる水桶けと近づいた。これでお前の命運も終わりだ、と。 しかし、もちろんそんなことにはなりませんでした。 「ん? なんか浮いてるぞ?」 青年が水桶の中を覗きながら呟く声に反応し、中を覗き込む赤ちゃんれいむ。 「ゆぶっ! あ゛り゛ずぅ゛ぅ゛!?」 そこにあったのはすっかり皮が水にとけて、クリームを水桶の中にぶちまけているありすの死骸でした。 「なんだ、こいつもお前の知り合いだったのか」 青年は優しくそう赤ちゃんに話しかけますが、既に赤ちゃんれいむは混乱の極みにありました。 なんでぱちゅりーが死んでいたのか。なんでありすが死んでいたのか。 考えても考えても答えは出てこず、生まれてからわずか三日で連続して目の当たりにした仲間の死から、赤ちゃんれいむはその場を逃げ出しました。 「ゆ゛ぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!お゛う゛ぢがえ゛る゛ぅ゛ぅ゛!」 涙と鼻水を撒き散らし、一目散に開けっ放しの戸へと駆けて行く赤ちゃんれいむ。 屋根に待機していたまりさは突然逃げ出してきた赤ちゃんれいむに驚き、屋根から下りてきました。 「どうしたんだぜ? ありすとぱちゅりーは!?」 まりさは逃げようとする赤ちゃんれいむを必死になだめすかし事情を聞きだそうとしますが、赤ちゃんれいむは泣いてばかりで何も答えません。 「どうしたんだぜ? 言ってくれないと分からないんだぜ!」 「────じゃあ俺が教えてあげるよ」 「ゆっ?」 すっかり失念していた青年の声に振り向くまりさの顔に、べちゃっ、と何かがはりつきました。 慌ててそれをとり、それが何かを確認するまりさ。 「ゆっ、ゆぅぅぅぅぅぅ!?」 それはすっかりぶよぶよになったありすのデスマスク。そしてまりさの目の前には焼き饅頭となったぱちゅりーの死体が転がっていました。 「ありすと、ぱちゅりーはね~……死んじゃった♪」 その一言でまりさは逃げ出した。 泣き続ける赤ちゃんれいむも放って逃げ出した。 ゆっくりの中でも狡賢いまりさはすぐに理解した。作戦は失敗したのだと。 このままでは自分も殺されてしまうと。 だから逃げなくては────。 と、そこまで考えたところでまりさの思考は断ち切られた。 青年に踏み潰されて一撃で絶命したのである。 泣きじゃくる赤ちゃんれいむはその光景を目の当たりにしてしまった。 潰れる帽子。変形する皮。飛び散る餡子。響く足の音。 びちゃびちゃと顔にかかるまりさの餡子を受け、赤ちゃんれいむは絶望した。 しかしそれも長くは続かない。 そのすぐ後に赤ちゃんれいむも踏み潰されたからだ。 「バカな饅頭共だ。お前達の作戦(笑)なんか全部知ってたっての」 まりさと赤ちゃんれいむの死骸を踏みしだきながら青年はそうこぼす。 三日間に及ぶゆっくり達の調査。本人達は気づかれていないつもりだったが、バレバレだったのである。その上「むきゅ、あそこにぱちゅりーが隠れるんだね」だとか、もろに大声で作戦(笑)を口走っていたのである。 青年はそれを知り、外に出るのにわざと暖炉に火をつけたまま出て行ったし、里の者に「考えがあるので気づかないふりをしてやってください」と言っておいた。 全ては青年の掌の上だったのである。 「やっぱ復讐はよくないよね♪」 青年はゆっくり達の死骸をまとめて生ゴミと一緒にまとめると、あらためて暖炉に暖まりに行った。 このSSに感想を付ける